伝統工芸品の美を楽しみたい男性に。「あま市七宝焼アートヴィレッジ」|愛知県

日本の伝統文化や工芸品の繊細な美に魅力を感じる、アーティスティックな男性に、愛知県あま市にある「あま市七宝焼(しっぽうやき)アートヴィレッジ」をご紹介します。

あま市七宝焼アートヴィレッジは、日本の伝統的な工芸品である「七宝焼」について、見て・触れて・学んで・体験することができる総合施設です。

現代では作れないほどの優れた技法による名品に出会えたり、職人さんが実際に七宝焼を作る作業風景を見学できたりと、ここならではの貴重な体験も盛りだくさん。さらに、七宝焼の製作体験教室もあります。

たくさんの「本物」に触れられるこの施設は、「伝統工芸品の良さに触れたい」というカップルにもおすすめのデートスポットです。

男性の知的好奇心をくすぐる、日本の伝統工芸品・七宝焼の歴史

七宝焼とは、金属の表面に、色とりどりの釉薬(ゆうやく:ガラス質の層)を乗せて焼き上げた工芸品です。「仏教の経典にある七種類の宝のように美しい」という意味で、この名前がつけられました。

今回は、その七宝焼の歴史や魅力について、また七宝焼をテーマにした総合施設「あま市七宝焼アートヴィレッジ」について、学芸員の野村さんにお話を伺いました。

明治時代に広まり、海外でも人気を博した七宝焼。現代の作品は小物がメイン

編集部

まずは七宝焼の歴史について教えて頂けますか?

野村さん

七宝焼は、1833(天保3)年に、現在の名古屋市に住んでいた梶 常吉(かじつねきち)という人物が作り方を発見しました。その後、1900年前後に当たる、明治時代の30~40年という短い間に、各地へ急速に広まったといわれています。

この発祥の地である愛知県七宝町や名古屋市で作られる七宝焼は、特に「尾張七宝」の名で呼ばれ、経済産業省指定の伝統的工芸品にもなっています。

編集部

七宝焼というと、海外でも人気が高いというイメージがあります。国内で広まったのと同じころから、海外でも人気を得ていたのですか?

野村さん

そうですね。明治時代には、政府が海外に日本をアピールする手段の1つとして七宝焼を用いていました。そのため七宝焼は万国博覧会等に出品され、海外で知られるようになり、多く輸出されていったという歴史があります。

また第二次世界大戦後には、GHQの進駐軍が、七宝焼を気に入り買い付けに来ていました。その頃は赤透という、その名の通り透けるような赤色の花瓶などが非常に喜ばれたそうです。

編集部

尾張地方の一個人が発見した製作法が日本中に広まり、さらに世界へも羽ばたいていったのですね。なんだかワクワクするお話です。

七宝焼は実用品でしょうか。それとも美術品、飾るものとして作られているのでしょうか。

野村さん

もともとは基本的に実用品でしたが、美術品色の濃いものもあります。輸出された花瓶などは、例えば掛け軸などと同じように、季節や用途に応じてふさわしい絵柄のものを選んで飾られるという用途ですね。

一方で現代は、伝統的なお皿や花瓶なども作られてはいますが、アクセサリーなどの小物がとても多くなっています。時代に合わせて形を変えつつ、作り続けられているというのが七宝焼の大きな特徴です。

編集部

その時代のライフスタイルに寄り添いつつも、伝統的な美しさが受け継がれているのですね。

家族で七宝焼の魅力に触れられる「あま市七宝焼アートヴィレッジ」

正面玄関の「七宝焼ふれあい伝承館」の文字

あま市七宝焼アートヴィレッジの「七宝焼ふれあい伝承館」では、作品鑑賞や製作体験など「七宝」に見て・触れて・学び・体験することができます。

ここからは、あま市七宝焼アートヴィレッジの施設について、詳しく伺っていきます。

焼き物に興味のある男性に人気。美しいもの好きの女性とのデートにもおすすめ

企画展示室の入り口の柄

編集部

七宝焼ふれあい伝承館は、若い方もいらっしゃるのでしょうか?

野村さん

若い世代の方の中にも、七宝焼に関心をもってお越しになる方はいらっしゃいますね。どちらかというと女性が多く、関東や関西など、遠方から足を運んで頂くこともあります。

編集部

なかなか他ではできない体験ですからね。美しいものが好きな奥様や彼女と、デートで訪れるのにも向いていそうです。

一面芝生の「ふれあい広場」▲「七宝焼ふれあい伝承館」の前には、広々とした芝生の「ふれあい広場」があり、のんびりと過ごせる

名品「間取り花鳥文大花瓶」は必見。職人に憧れる男性にはたまらない、作業見学コーナーも

編集部

常設展示室では、どのような展示が見られますか?

野村さん

七宝焼の歴史や製作工程、技法の紹介があります。尾張七宝の名品も展示していますよ。

編集部

見どころや、必見の作品がありましたら教えて頂きたいです。

野村さん

まずは、当館で一番大きい花瓶の「間取り花鳥文大花瓶」ですね。高さが150センチくらいあるのですが重さは約40キロと、大きい割に軽いところが特徴で、それはなぜかと言うと土台が銅の板でそこにガラスの釉薬が載っているという作りだからなんです。

これは非常に優れた技法で、今ではおそらく作れる職人がいないというぐらいの貴重な作品です。

この大花瓶は海外に輸出されていて、たまたま日本に里帰りしてきたものですが、七宝焼の名品が海外に多く伝わっていることを示すものでもあります。ほかにも海外にも優れた作品たちがたくさん残っているというところを、ちょっと想像をしながら見て頂けたら、楽しいかなと思います。

編集部

ロマンが感じられますね。

野村さん

また、省胎七宝という珍しい技法の花瓶があります。省胎七宝とは、途中までは普通の七宝焼と同じような作り方をするのですが、最後の最後に、酸を使って、素地と呼ばれる中身の銅を溶かしてしまうのです。すると、外のガラスのみが残った七宝焼になります。

通常の七宝焼は落としても表面だけしか割れないのですが、この省胎七宝は落とすと割れてしまいます。一言で七宝焼といっても、色々な作り方があるということを知って頂きたいですね。

それから館内にある「職人ゾーン」では、七宝焼の職人が作業しているところを目の前で見ることができます。もし疑問点などがあれば聞いて頂くことも可能ですよ。

編集部

作業工程が見られるうえに、職人さんとコミュニケーションができるんですね。職人さんに憧れる男性や、ものづくりの好きな男性にはたまらないと思います。

野村さん

そうですね。展示や体験を実施している施設は珍しくありませんが、職人が作っている工程を目の前で見られるということは、全国でもあまりないと思います。その辺りもぜひ楽しんで頂きたいですね。

展示品の釉薬▲展示品の釉薬。鉱物を原料とする粉末に水を混ぜ、ホセと呼ばれる竹のヘラを使って乗せていく

ショップで販売されているお皿▲ショップで販売されている作品。手軽に購入しやすい文房具やポストカードなどもあるので、来館の記念にいかが

七宝焼体験教室で、思い出に残る作品を作ろう

七宝焼体験教室に参加中の人々

編集部

七宝焼の製作体験教室は、どのような内容でしょうか。

野村さん

60分から180分まで4種類のコースがあり、製作物はメニューの中から選んで頂きます。基本的には、気軽に楽しめる60分コースが人気ですね。ベーシックな「丸」「ハート」「星」のペンダントやストラップを作られる方が多いです。

七宝焼の土台になる部分を「素地」といいますが、モチーフの形になった素地の上にお好みの釉薬を乗せ、その場で焼き上げて出来上がりです。

編集部

ある程度形のできたところに、好きな色を付けていけるということですね。作業は難しくないですか?

野村さん

はい。どんな世代の方でも楽しんで頂けると思います。また、あまりに絵柄が細かい場合などには、講師の方から「少し模様をシンプルにしましょう」など、アドバイスもさせて頂けますよ。

編集部

焼き時間はどれくらいかかりますか?

野村さん

よく驚かれるのですが、七宝焼は電気の小さな窯で焼き上げ、所要時間は2~3分です。愛知県や岐阜県は焼き物の盛んな地域ですが、七宝焼は土で作られた焼き物とは全く別物ですよというお話をすると、皆さん「えっ」という顔をされますね。

編集部

私も、てっきり陶器のように何時間も焼くものだと思っていたので驚きました。焼き上がった作品はそのまま持ち帰れるのですか?

野村さん

はい。製作したものは、体験の思い出とともに大切に使って頂ければ幸いです。

詳細:七宝焼体験教室

体験教室会場の入り口

「あま市七宝焼アートヴィレッジ」の口コミ

美しい展示品を見て、七宝焼は日本が世界に誇る工芸品だと改めて感じた。「本物」に触れることができてありがたい。

七宝焼の製作方法が丁寧に説明されていて、とても興味をそそられた。さらに職人さんの技を見ることまででき、感激。

製作体験が楽しめる。夢中になっていたら時間があっという間だった。ふれあい広場ではレジャーシートを広げて、ピクニック気分でのんびりできた。

七宝焼の美や展示の充実度、製作体験の楽しさなどを、高く評価する声が多くありました。

「あま市七宝焼アートヴィレッジ」の観覧料

あま市七宝焼アートヴィレッジ観覧料は以下の通りです。

個人 団体(20人以上)
小・中学生 100円 50円
高校生以上 310円 250円

企画展示室の観覧料は、展覧会によって異なります。詳しくは、公式サイトの「企画展のご案内」をご確認ください。

「あま市七宝焼アートヴィレッジ」の基本情報

所在地 愛知県あま市七宝町遠島十三割2000
電話番号 052-443-7588
開館時間 9:00~17:00
休館日 毎週月曜日、祝日の翌平日、年末年始(12月29日~1月3日)
交通アクセス ○車で来館の場合
<静岡・東京 関東方面から>
小牧IC・清洲JCT方面からは甚目寺南ICで降り、大治北インター交差点を右折(西方面へ)10分程度


<京都・大阪 関西方面から>
飛島JCT・名古屋西JCT方面からは大治北ICで降り、大治北インター交差点を左折(西方面へ)10分程度

○公共交通機関で来館の場合
名古屋駅から、徒歩+バスで約65分、もしくは電車+タクシーで約35分
公式サイト https://www.shippoyaki.jp/index.html

※最新の情報はホームページ等でご確認をお願いいたします。