1人の画家の生涯を追う「ベルナール・ビュフェ美術館」でビジネスに生きる創造性を磨く

第二次世界大戦後のフランスで活躍した画家、ベルナール・ビュフェをご存知でしょうか。黒い輪郭線にモノトーンの色彩という独特の作風を確立し、若くして当時の芸術界を席巻した人物です。

今回ご紹介する静岡県・長泉町の「ベルナール・ビュフェ美術館」は、このビュフェという一人の画家のために捧げられた、世界にひとつしかない美術館です。

初期の作品から晩年の作品まで約2,000点ものビュフェ作品が所蔵されており、その作風の移り変わりを間近で体感できます。じっくりとその世界観に浸れば、人生やビジネスに役立つヒントが何か見つかるかもしれません。

作品のテーマや特徴がわかりやすく解説されているので、アート鑑賞に慣れていないという男性にもおすすめですよ。

今回は、そんなベルナール・ビュフェ美術館の魅力や楽しみ方について、学芸員の福岡さんにお話を伺いました。

男性が楽しめる魅力が満載の「ベルナール・ビュフェ美術館」

「ベルナール・ビュフェ美術館(以下、ビュフェ美術館)」は、静岡県・長泉町にある駿河平自然公園のすぐ近くに位置する美術館です。四季折々の自然とアートに囲まれてゆっくりとした時間を過ごすことができるので、仕事のリフレッシュに訪れてみてはいかがでしょうか。

館内には、遊びながら美術作品に触れることができる「ビュフェこども美術館」や、美味しいコーヒーや食事が楽しめるお洒落なカフェもあります。彼女と一緒に訪れるのもおすすめですよ。

ビュフェの生涯を作品で追うことのできる、世界でも珍しい術館

ビュフェ美術館の館内の様子

▲初期から晩年の作品まで、約2,000点のビュフェ作品が収蔵されている。

編集部

まずは、ビュフェの作品の魅力やビュフェ美術館の見どころについて教えていただけますか?

福岡さん

1928年にパリで生まれたビュフェは、若い頃から画業をスタートして早くにスターの座にのぼり詰めた画家です。

一目見れば「ビュフェだ」とわかるような独自のスタイルを確立している一方で、一つのところにとどまることなく、生涯を通じてどんどん自分の画風を変化させているという点に魅力があると思っています。ビュフェは「線の作家」と言われるくらい線の描き方に特徴がある画家なのですが、その線の強調の具合も時代によって違うんですよ。

ベルナール・ビュフェ美術館にある「線の作家」を象徴する作品たち

福岡さん

ビュフェ美術館は、その名のとおりビュフェにスポットを当てた美術館で、初期の作品から晩年の作品まで約2,000点の作品をコレクションしています。ビュフェの時代ごとの作品の変化を、画集ではなく実際の空間の中で鑑賞できるというのは、世界的に見ても珍しいことなんですよ。

編集部

時代ごとのビュフェの心境や価値観の変化が作品にあらわれているのでしょうか?

福岡さん

そうですね。ビュフェは、絶大な人気を集めていた一方で、多くの批判も受けていた画家です。

アートというと、「貧しさに喘ぐ中で苦しみながら作品を描いていた」というロマン主義的な芸術家のイメージを持たれる方が多いかもしれませんが、ビュフェは若いうちにスターの座にのぼり詰めたこともあり、生活に困ることはありませんでした。

形が気に入ったという理由で、運転できないのにロールスロイスを買ったというようなエピソードもあるんですよ。

ビュフェは生涯を通じて制作に没頭していましたが、商業的に成功すると、良くも悪くも世間からの声が届くようになったので、それが作品の変化につがっているというのはあるかもしれませんね。

編集部

なるほど。福岡さんは、どの年代の作品がお好きなのでしょうか?

福岡さん

私は、初期の少し暗い色調で描かれた室内の作品が好きですね。

初期の作品を見てみると、絵筆で書いた黒い線だけでなく、引っ掻き傷のような線も使われています。一口に線といってもさまざまな線があるので、注目して見ていただくと面白いと思いますよ。

その後、室内画を描かなくなった時代があるのですが、1969年に「内省」というタイトルで室内画を再開したんです。とても興味深いテーマの作品ですし、かなり大型の作品なので迫力があって見ごたえがありますよ。

編集部

男性から反響が大きい作品にはどのようなものがありますか?

福岡さん

「内省」も含めて、大型作品はやはり注目を集めますよね。

ビュフェの代表作に、1951年に描かれた「キリストの受難」をテーマとした大型の3部作の作品があるのですが、当館ではそのうち2点を所蔵していて、「内省」とともに大型の作品を常設している展示室に飾っています(※)
(※)展示は時期によって変わる可能性があります。

日本でこれだけ大型の「キリストの受難」をテーマとした作品を鑑賞できる機会はあまりないと思いますので、ぜひ楽しんでいただければと思います。

ベルナール・ビュフェ美術館で「キリストの受難:復活」という作品を鑑賞している様子

▲ベルナール・ビュフェのキリスト3部作のひとつ「キリストの受難:復活」。かなり大きな絵で、迫力を感じる。

館内の「ビュフェこども美術館」で創造性を育む体験を

ビュフェこども美術館の館内

▲ビュフェこども美術館では、五感をつかって遊びながら美術作品を楽しむことができる

編集部

館内にはお子様向けの施設もあると伺いましたが、どのような施設なのでしょうか。

福岡さん

「ビュフェこども美術館」という、遊びながら美術に触れることができる施設があります。

福岡さん

当館が自然に囲まれた場所にありますので、現代作家の描いた動物や、自然に関する絵本を多くそろえた絵本コーナーで絵本を読んだり、ヘンシンコーナーでビュフェの作品の中の人物になりきったりして楽しむことができますよ。

また、こども美術館内では、ワークショップを開催することもあります。例えば最近では、版画に挑戦するイベントや、生き物をじっくり観察して絵を描くイベントなどを開催しました。

編集部

とても楽しそうですね。美術館に訪れるカップルが、将来家族になった時にもう一度来てみてほしいです。

福岡さん

そうですね。長泉町は子育て支援に力を入れている町ですし、我々もこうした事業をとても大切にしています。小さい頃に美術館に楽しい思い出があると、大きくなってからも来ていただける回数が如実に増えるんですよ。

編集部

小さい頃の体験が重要だということですね。最新のワークショップの内容やスケジュールは、ホームページに掲載されているそうですよ。

建築好き男性必見!菊竹清訓によって設計された珍しい建物も見どころ

ベルナール・ビュフェ美術館の外観

▲帆船のようにも見える建物は、建築家・菊竹清訓によって設計されたもの。そのダイナミックな建物や内装も楽しんでみて。

編集部

美術館の建物にはどのような特徴がありますか?

福岡さん

本館の建物は、1960年代にメタボリズム(※)の概念を提唱した建築家の一人である、菊竹清訓によって設計されたものです。
(※)細胞が新陳代謝(メタボリズム)するように、建築も社会の発展や人口の増加に応じて変化していくべきだという概念

菊竹は九州国立博物館や江戸東京博物館などの有名な建物をたくさん生み出している建築家なので、彼の名前をご存知なくても建物は見たことがあるという方は多いのではないかと思います。

ビュフェ美術館の本館は、帆船のような形をしているのが特徴で、モダニズム建築(※)の中では珍しい建物です。ぜひ建物にも注目して楽しんでいただければと思います。
(※)19世紀以前の建築を否定し、合理性や機能性を重視したて作られたシンプルなスタイルの建築

編集部

船の帆のように見える中央部分に大展示室があるんですよね。高い天井から差し込む自然光がダイナミックで美しいという口コミを拝見しましたが、外から見ても迫力があって面白いですね。

鑑賞後は、彼女も喜ぶお洒落なカフェ・ショップで食事と買い物を楽しむ

ベルナール・ビュフェ美術館の外観

▲併設のカフェにはテラス席も。解放感溢れる雰囲気の中で美味しい食事やコーヒーを楽しめる。

編集部

ベルナール・ビュフェ美術館でのおすすめの過ごし方があれば教えてください。

福岡さん

美術館の隣には「TREEHOUSE(ツリーハウス)」というカフェとショップが併設されています。展示をご覧いただいたあとには、カフェで食事をしたりショッピングを楽しんだりしてゆっくりお過ごしいただければと思います。

TREEHOUSEの内観

▲アーティスティックなデザインのTシャツやバッグ、ポストカードなどのグッズが並ぶ店内

福岡さん

窓が大きく開放感があり、木々に囲まれた落ち着いた雰囲気の中で一息つくことができます。四季を通じて、木々の変化も楽しめて素敵ですよ。

編集部

デートで訪れるのにも良さそうですね。彼女や奥さんとゆっくりした時間が過ごせそうです。

カフェでは何かおすすめのメニューはありますか?

福岡さん

日替わりのメニューなどもありますが、私はカレーが好きです。辛くて美味しいですよ。コーヒーセットも用意していますので、ちょっとした休憩にもぜひお立ち寄りください。スイーツも充実していますよ。

TREEHOUSEで人気のカレー

▲野菜がたっぷりのカレーはボリューミーなのにヘルシー!

編集部

カレー好きの男性必見ですね。写真を拝見しましたが、とても美味しそうです!

ショップではどのような商品が人気なのでしょうか?

福岡さん

カタログやポストカード、ビュフェの作品をあしらったTシャツなどが人気ですね。男性のお客様にもよくご購入いただいていますよ。

さまざまな切り口で企画展を開催。ビュフェを知らない世代の男性も訪れてみて

編集部

ベルナール・ビュフェ美術館に来館される方は、もともとビュフェを知っている方が多いのでしょうか?

福岡さん

50代以上の方に関しては、やはりビュフェの活躍を知っていていらっしゃる方が多いですね。大阪の阪急三番街にビュフェが原案を提供した蝶のモニュメントが設置されるくらい、当時日本でも人気がありましたからね。

30代、40代になると知っている方がかなり減ってくるのですが、知らない方にもぜひご来館いただきたいと思っています。毎回テーマを決めて企画展をやっているので、さまざまな切り口からビュフェ作品を楽しんでいただけると思いますよ。

編集部

現在(2024年4月)はどのような企画展が開催されているのでしょうか。

福岡さん

開館50周年記念展として、「偉才の行方」と題した企画展を開催しています。

ビュフェは批判を受けることも多かった画家なので作品が正当な評価を受けられないという時代があったのですが、2016年のパリの公立美術館で大きな回顧展があって以来、またビュフェを見直そうという動きが盛んになっています。

当館でも、もう一度ビュフェ作品が持つ特異性や個性をあぶりだそうということで、展覧会を開催しているんです(※)
(※)2024年11月24日(日)まで開催中

また、「ビュフェのパリ カフェと映画と音楽と」というテーマの企画展も開催中です(※)。作品を通してビュフェが生きた時代の文化を感じることができる内容になっていますので、併せて楽しんでいただければと思います。
(※)2024年11月24日(日)まで開催中

編集部

ありがとうございます。ベルナール・ビュフェ美術館は、アート鑑賞初心者の方やビュフェを知らないという方でも、さまざまな楽しみ方ができるということがよくわかりました。

アートで感性を磨くことは、ビジネスにもいい影響を与えると言われていますよね。読者の男性の皆さんも、ぜひ訪れてみてはいかがでしょうか。

ベルナール・ビュフェ美術館の口コミ・評判

ベルナール・ビュフェ美術館で絵画を鑑賞している様子

死を連想するような絵画から、温かい印象の絵画まで、さまざまな面が楽しめる美術館です。

美術に造詣の深くない私でも楽しめました。「ビュフェこども美術館」ではお子さん達がとても楽しそうに遊んでいました。

吊り橋がある公園も隣接しているので、時間に余裕があれば散策も楽しめてとてもいいです。

絵画で圧倒されたあと、カフェで落ち着いた時間を過ごすことができました。コーヒーがとても美味しかったです。

ビュフェの作品の数々に圧倒されたという口コミのほか、併設のカフェや「ビュフェこども美術館」に関する高い評価も目立ちました。さまざまな楽しみ方ができる美術館だということがわかります。

ベルナール・ビュフェ美術館へのアクセス・施設概要

開催中の企画展・ワークショップの情報は、公式サイトをご確認ください。

所在地 静岡県長泉町東野クレマチスの丘515-57
アクセス 【車の場合】
長泉沼津ICより5km

【電車の場合】
JR東海道線「三島駅」下車後、路線バスで約45分、タクシーで約20分
営業時間 10:00~17:00(3月―10月)/10:00~16:30(11月―2月)
料金 大人:1,500円
高・大学生:750円
中学生以下:無料
電話番号 055-986-1300
公式ページ https://www.buffet-museum.jp/

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