家づくりを考えているものの、何を基準に選べばよいのか迷っている方へ。これからの時代は「3世代100年住み継ぐ」という新しい家づくりの視点が不可欠です。建てては壊すという従来の常識を超えて、世代を超えて受け継がれる住まいづくりのポイントをご紹介します。
今回は、長年にわたり多くの家づくりに携わり、自然素材を活かした上質な住まいづくりを手がける日本ハウジング株式会社の代表取締役社長、馬場さんにお話を伺いました。
条件 | 具体的なポイント | 期待される効果 |
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外部環境との繋がりを重視した設計 |
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家族の「変化」に対応できるシンプル設計 |
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次世代を見据えた将来設計 |
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自然素材の選択 |
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この記事の目次
家づくりのプロが伝える、3世代100年住み継ぐ家の条件
3世代100年住み継ぐ家づくりには、単なる耐久性だけでなく、時を重ねるごとに深まる家族の絆と、世代を超えて受け継がれる魅力的な住空間が求められます。実際のリフォーム相談でも、建物の物理的な状態以上に、その家への愛着が住み継ぐかどうかの決め手となっているといいます。近年では、長期優良住宅の制度整備による耐震性能や断熱性能の向上、シックハウス対策の規定、さらには木造住宅の資産価値を適正に評価する新しい動きも始まっています。
では、具体的にどのような条件を満たせば、長く愛される家が実現できるのでしょうか。
外部環境との繋がり、シンプルな設計、将来を見据えた計画、そして自然素材の活用など、プロの建築家が考える重要なポイントを詳しくご紹介していきます。
条件1:外部環境との繋がりを重視した設計
住まいづくりの真髄は、その土地が持つ豊かさを最大限に活かした設計にあります。周囲の環境と調和し、四季の移ろいを感じられる家は、時を経るほどに愛着が深まっていくものです。
太陽の光一つとっても、絶妙なバランスが求められます。西日は夏には強すぎる日差しとなりますが、寒い冬には心地よい温もりをもたらしてくれます。近年の住宅は断熱性能が飛躍的に向上していますが、その高性能さゆえに、夏場は室内に熱がこもりやすく、エアコンへの負担も大きくなります。
このような課題を解決するには、その土地ならではの環境を丹念に読み解いていく必要があります。朝日と夕日の位置、季節による日差しの角度、風の通り道、湿度の変化――。さらに、道路からの視線も重要な要素です。プライバシーを守るためにカーテンを閉め切れば、せっかくの自然の恵みを享受できなくなってしまいます。
都会で自然の景観を望めない場合でも、工夫次第で豊かな住環境は実現できます。例えば、小さな庭でも季節の移ろいを感じられる植栽を施せば、心安らぐ空間となります。このように、間取りを検討する以前に、外部環境との繊細な対話を重ねることが、長く愛される家づくりの礎となるのです。
条件2:家族の「変化」に対応できるシンプル設計
▲開放的な空間が魅力的なシンプル設計の施工事例
「100年住み継ぐ」とき、私たちは未来の暮らしをどこまで想像できるでしょうか。家族構成の変化、生活スタイルの移り変わり。そんな未来の変化に柔軟に応える鍵が、実は「シンプルな構造設計」に隠されています。
その本質は、建物の強度を支える重要な骨格を外周部に集中させること。耐震等級3という最高レベルの強度も、外周部の構造で確保できれば、内部の間仕切り壁は必要最小限に抑えることができます。これにより、将来の間取り変更の自由度が大きく広がるのです。
なぜ、この「シンプルさ」がそれほど重要なのでしょうか。例えば、子育て期には個室が必要でも、子どもの独立後は開放的な空間が魅力的に感じるかもしれません。ところが、もし構造上重要な壁が室内に配置されていると、そんな思い描いた変更も困難を極めます。大規模な補強工事が必要となったり、最悪の場合、改修を諦めざるを得ない状況に追い込まれたりすることも。
この点で示唆に富むのが、400年、500年もの歴史を刻むヨーロッパの建築です。レンガ造りという工法上、おのずと生まれるシンプルな構造。しかし、そのシンプルさゆえに、世代を超えて自由な空間づくりを可能にし、今なお多くの人々の暮らしを支え続けているのです。
木造主体の日本の住宅は、技術的には複雑な構造も可能です。しかし、時代を超えて住み継がれる家づくりにおいて、あえて選択したいのが「シンプル」という知恵。それは、未来の可能性を広げる、確かな土台となるのです。
条件3:次世代を見据えた将来設計
家づくりは、まさに「未来への贈り物」です。そこに求められるのは、10年先、20年先の暮らしを見据えた慎重な眼差し。今は若く元気でも、いずれ訪れる老いへの備え。子どもがいなくても、次世代への継承を考慮した設計。そんな将来の様々な可能性に、どう応えていくのか。それが、本当に長く住み継がれる家の設計に問われる視点です。
特に重要となるのが、介護への備えです。1階へのトイレの配置、将来の手すり設置を見据えた廊下幅の確保、介護車両がスムーズにアプローチできる玄関周り。こうした配慮は、いざという時になって初めてその価値が実感されます。また、車椅子での生活を想定した開口部の幅や、段差のない動線計画も、将来の安心を支える大切な要素となります。
実家の隣地に家を建てるケースでは、より綿密な将来設計が求められます。二つの建物をどう活用していくのか、家族構成の変化に応じてどのように使い分けていくのか。こうした検討は、単なる間取り以上に重要な意味を持ちます。
一方で、注意したいのが流行りの罠です。SNSで話題の「おしゃれな間取り」や「人気の設備」も、10年も経てば古びた印象に。むしろ大切なのは、流行に惑わされない本質的な価値。家族の暮らしを見つめ、将来の変化にも柔軟に対応できる普遍的な設計です。
つまり、次世代を見据えた家づくりとは、表面的なデザインや一時的な便利さを超えた、より深い住まいの在り方を問うもの。それは、世代を超えて受け継がれる確かな価値を創造する営みなのです。
条件4:無垢材や土壁など、自然素材の選択
設計だけでなく、内装材の選択も重要な条件の一つ。
今日の住宅市場では、壁や天井のビニールクロス、プリント加工された床材など、化学製品が主流です。確かに製造コストは従来の3分の1に抑えられ、施工もスピーディー。しかし30年ほど経つと、紫外線による変色や剥離が目立ち始め、その美しさは失われていきます。100年という時を見据えたとき、少なくとも3回ほどの大規模リフォームが避けられない状況となる可能性があるのです。
その一方で、無垢材や土壁といった自然素材は、時を重ねるごとに独特の風合いを増していきます。子どもが駆け回って柱についた傷、長年の生活で深みを増した床の艶。それらは決して汚れや傷ではなく、この家で紡がれてきた物語の一つひとつ。手入れや補修を重ねながら、世代を超えて受け継がれていく豊かな記憶となるのです。
対照的に、化学製品で作られた家は、一度リフォームされると、まるで別の空間に生まれ変わってしまいます。大学進学で離れていた実家が、帰省時には見知らぬ家になっていた――。そんな経験をされた方も少なくないでしょう。家族の思い出が途切れてしまうと、自然とその家への愛着も薄れていってしまいます。
確かに、自然素材を選ぶことは、初期費用の面では大きな決断となります。材料の調達から施工まで、手間も時間もかかります。しかし、将来的なリフォーム費用を考えれば、決して高価な選択とは言えません。そして何より、年月とともに深まる家族の絆、刻まれていく思い出の数々。そんな何物にも代えがたい価値を育んでいけることこそ、本物の素材が持つ最大の魅力といえるでしょう。
「長く住み継がれる家」の実現には、工務店探しも重要
▲日本ハウジングの施工事例:家の内装と家具インテリアのバランスが良い
これまでご紹介してきた「長く住み継がれる家」の実現には、確かな技術と緻密な計画、そして何より、住まいづくりに関わるすべての工程を一つの視点で貫くことが欠かせません。当然、それを可能にする工務店探しはとても重要です。
家づくりのプロ・馬場氏が代表を務める日本ハウジングも、その選択肢の一つ。同社は、設計から施工、内装材の製造、さらには家具製作まで一貫して手がける「トータルコーディネート」の体制を確立し、100年という時を見据えた確かな品質と、世代を超えて愛される住空間を生み出しています。
また、その強みは、本物の自然素材へのこだわりにも表れています。例えば、調湿性に優れた珪藻土は自社工場で製造。厳格な品質管理のもと、熟練の職人による丁寧な施工で、心地よい空間を創り出しています。さらに、空間に調和する家具も社内の工房で製作。一つひとつに込められた職人の想いが、暮らしに温もりを添えます。
このように、住まいづくりのすべての要素を一貫した理念で紡ぎ合わせることで、日本ハウジングは、世代を超えて受け継がれる確かな住まいを実現しています。※対応エリア:大分県のみ
サービス名 | 新築注文住宅 府内町家 |
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問い合わせ | https://www.nihonhousing.co.jp/contact |
公式ページ | https://www.nihonhousing.co.jp/ |
工務店 | 日本ハウジング |
この記事のまとめ
目的 | 3世代100年住み継ぐ家づくりの実現 |
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重要条件1 | 外部環境との繋がりを重視した設計
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重要条件2 | シンプル設計による将来の変更可能性
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重要条件3 | 次世代を見据えた将来設計
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重要条件4 | 自然素材の活用
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
観光協会おすすめの「ドライブデート」企画や、「プロに聞くアドバイス」企画の編集を担当。地方移住に関する取材経験が150本と豊富で、各地の名所に精通。プライベートでも週2回はドライブするほどのドライブ好き。