【奈良県天川村ドライブデート】昭和レトロな温泉街「洞川温泉郷」と名水を巡る秘境の旅

ドライブデートにおすすめのエリアをお探しの方へ。今回は、奈良県天川村の洞川(どろがわ)温泉郷を目指す、自然と歴史を感じる特別なコースをご紹介します。

吉野熊野国立公園内に位置するこの地では、大正から昭和初期の建築が残る情緒ある温泉街で、夕暮れには提灯の灯りが路地を照らす幻想的な風景が広がります。また、「ゴロゴロ」という音を響かせながら湧き出る神秘的な名水や、修験道の聖地として1300年の歴史を持つ古刹など、都会では味わえない秘境の魅力が満載。

大峯山洞川温泉観光協会の増谷さん直伝の地元ならではのコースを辿りながら、特別な思い出を作ってみませんか。

▼今回ご紹介する奈良県天川村のドライブスポットの見どころ

奈良県天川村のドライブスポットの見どころ

洞川温泉郷を目指す、奈良県天川村のドライブコース

  • 出発点 大和八木駅
    | 約1時間15分(46.4km)
  • スポット1 ごろごろ茶屋
    | 約5分(2.0km)
  • スポット2 大橋茶屋と女人結界門
    | 約10分(3.6km)
  • スポット3 面不動鍾乳洞
    | 約1分(190m)
  • スポット4 きらく久兵衛味処&ごろごろショップ
    | 約2分(350m)
  • スポット5 龍泉寺
    | 約3分(700m)
  • スポット6 洞川温泉ビジターセンター

洞川温泉郷を訪れるならレンタカーでのアクセスが便利です。近鉄大阪線または近鉄橿原線の大和八木駅で下車し、駅前のレンタカーショップを利用するのがおすすめ。

大和八木駅を出発すると、まずは橿原市街地を抜け、やがて田園風景が広がる道へと進みます。道沿いには、のどかな田畑や古民家が点在し、車窓からは農作業をする人々の姿や季節の花々を楽しめます。

進行方向に山々が見え始めると、空気がひんやりとし、木々の緑が濃くなり、自然の息吹を感じるようになります。道路脇には、清流が流れる小川や、野生の動植物が息づく森が広がり、車内からでもその豊かな自然を感じることができます。

天川村へと近づくにつれ、道は山間部へと入り、急峻な山々や深い谷が現れます。道路の両側には高い木々が生い茂り、時折差し込む木漏れ日が幻想的な雰囲気を醸し出します。道中には古い石橋や歴史ある建物も点在し、時間が止まったような感覚を味わえます。

それでは、各スポットの魅力をご紹介していきます。

スポット1:ごろごろ茶屋(大和八木駅から車で約1時間15分)

ごろごろ水とごろごろ茶屋の入口

天川村へ到着したらまず向かうのは、天川の名水「ごろごろ水」の湧水スポット「ごろごろ茶屋」。洞窟から湧き出る水の流れが「ゴロゴロ」と独特に響き渡る音から名付けられた「ごろごろ水」は、昭和60年に環境省「名水百選」に選ばれた天然の湧き水です。

ごろごろ水の採水所では、駐車料金込みの500円で採水し放題となっていて、ペットボトルなどで水を持ち帰る人もしばしば見られます。この「ごろごろ茶屋」では、名水を使ったわらびもちなどが提供されているため、長時間のドライブの疲れを癒しに店内でゆったりと過ごすのがおすすめ。

施設名 ごろごろ茶屋
所在地 奈良県吉野郡天川村洞川686-139
駐車場情報 専用駐車場あり(500円)
営業時間 【通常】9:00〜18:00
【夏期】8:00~18:00
【冬期】9:00~17:30
※入場は通年、終業30分前まで
定休日 年末年始

スポット2:大橋茶屋と女人結界門(ごろごろ茶屋から車で約5分)

大橋茶屋の外観と店内、女人結界の門

湧水スポットを後にして、次に向かうのは修験道の歴史を伝える「大橋茶屋」と「女人結界門」です。大橋茶屋は大峯山へ登拝する山伏たちを見送り、迎える場所となっていた休憩処で、女人結界門はかつて大峯山における女人禁制の境界を示していた門です。

大橋茶屋では、コーヒーや吉野名物の葛を使った甘い葛もち、「ごろごろ水」を使用したかき氷など、地元の食材を活かしたスイーツを楽しむことができます。

女人結界門は、いまではその戒律が緩和され、門の前で写真を撮るカップルが多く訪れるスポットへと姿を変えています。門の奥に見える山々の風景が美しく、記念撮影の背景として人気です。

歴史と伝統が息づくこの場所で過ごす時間は、きっと二人の心に深く刻まれる思い出となるでしょう。

施設名 大橋茶屋
所在地 奈良県吉野郡天川村洞川684-72
駐車場情報 専用駐車場あり(50台)
1,000円 / 日
営業時間 平日10:30〜
定休日 不定休

スポット3:面不動鍾乳洞(大橋茶屋と女人結界門から車で約10分)

面不動鍾乳洞の入り口とかりがね橋

天川村を誇る名水の味を堪能した後は、神秘的なスポット面不動鍾乳洞へと向かいます。

全長約280メートル、約30分ほどで探索できる鍾乳洞の中では、希少な「ストロー鍾乳管」が見られます。これはストローのように真っ直ぐに伸びた中空の鍾乳石で、先端から水滴が滴り落ちる繊細な様子を観察できます。

また「珊瑚の壁」と呼ばれる鍾乳石も見どころで、壁一面に広がる無数の細かな突起や枝分かれした造形が、まるで海中の珊瑚礁のような複雑で美しい光景を作り出しています。洞内は年間を通して平均気温約8度と一定で、カラフルなライトアップが鍾乳石を幻想的に彩ります。

面不動鍾乳洞見学後は、ハイキングコースを通って、かりがね橋へと向かいましょう。約25分の道のりは、洞川の美しい自然を間近に感じられる心地よい散策タイムです。春は新緑、秋は紅葉と、四季折々の景色を楽しめます。

清流の上に優美に架かるかりがね橋を渡り、緩やかな坂道を上ると「大原山展望台」に到着します。ここは洞川温泉郷の全景を一望できる絶景スポット。古くからの町並みと周囲の山々が織りなす風景が広がります。

名称 面不動鍾乳洞
所在地 奈良県吉野郡天川村洞川673-89
駐車場情報 専用駐車場あり(無料)
※週末は混雑が予想されるため、周辺の有料駐車場の利用を推奨
営業時間 【通常営業】9:00~18:00
【夏期(7月20日~8月末)】8:00~18:00
【冬期(10月1日~3月31日)】9:00~17:00
定休日 水曜日(令和7年4月~)※水曜日が祝日の場合は翌日。7、8月は無休
12月31日〜1月6日

スポット4:きらく久兵衛味処&ごろごろショップ(面不動鍾乳洞から車で約1分)

きらく久兵衛味処の外観と内観、ごろごろショップの外観と店内

鍾乳洞の探索やハイキングを楽しんだあとは、いよいよ洞川温泉街の中心部へと向かいます。

地元の人々と観光客に親しまれている食事処「きらく久兵衛味処」は、清らかな川のせせらぎを間近に感じる立地が自慢です。窓際の特等席からは、エメラルドグリーンに輝く水面を眺めながらの至福のひとときが楽しめます。もちろん、豊かな自然で育まれた山の幸と川の幸をふんだんに使った料理の数々はどれも味わい深く、夏は鮎塩焼定食(税込1,750円)、秋はもみじ定食(税込1,450円)と湯豆腐定食(税込1,300円)が人気です。

ほかにも、きらく久兵衛味処の徒歩3分圏内には、様々な食事処があります。奈良県の伝統的な郷土料理「大和の茶粥定食」が味わえる「お食事処 とり長」や、洞川で獲れたイノシシや鹿肉を使った贅沢なジビエ料理を提供する「お食事処 みやそい」、そして、洞川の名水で丹念に打ち上げられた蕎麦が楽しめる「そば処 清九郎」など、その日の気分によって選んでみるのも良いでしょう。

そして、洞川温泉郷を訪れたなら必ず立ち寄りたいのが、天川村のアンテナショップ「ごろごろショップ」。きらく久兵衛味処の真隣にあり、きらく久兵衛味処を出てほんの10秒で到着するこのお店は、地元の魅力が凝縮されたお店として、毎日天川を訪れる人を温かく迎えています。

洞川で丹精込めて作られた様々な特産品が並ぶ中でも、ゴロゴロ水関連商品は特に人気。持ち帰り用のペットボトルから、10リットル、20リットルといった大容量のものまで、この奇跡の水を自宅で楽しめる商品が揃います。

何気に嬉しいのが、ごろごろショップのほぼ年中無休という嬉しい営業体制。お正月の3日間以外はいつでも開いているため、「せっかく来たのに休みだった」なんてガッカリすることがありません。

洞川温泉郷での素敵な思い出づくりの一環として、ぜひこの地域の宝物である名水と特産品の数々に触れてみてください。

施設名 きらく久兵衛味処
所在地 奈良県吉野郡天川村洞川47
駐車場情報 専用駐車場あり(無料)
営業時間 11:00〜17:00
定休日 不定休
施設名 ごろごろショップ
所在地 奈良県吉野郡天川村洞川46
駐車場情報 駐車場あり(無料)
営業時間 8:00〜19:30
定休日 1/1〜1/3

スポット5:龍泉寺(きらく久兵衛味処&ごろごろショップから車で約2分)

龍泉寺の境内

お腹を満たし、お土産選びを楽しんだあとは、約1300年前、修験道の開祖・役行者により創建された由緒正しき古刹(こさつ)「龍泉寺」を参拝しましょう。

言い伝えによると、役行者がこの地を訪れた際、現存する「龍之口(たつのくち)」と呼ばれる岩の裂け目から湧き出る清らかな水を見出したといいます。役行者はその神秘的な水源に魅せられ、雨や水を司る仏教の八大龍王(はちだいりゅうおう)を祀ったことが、寺の始まりとされています。

龍之口からできた泉は水深わずか50センチほどの小さなものですが、澄んだ水は神秘的な輝きを放ち、古くから訪れる人々を魅了してきました。この霊水は現在も水汲みや願掛けのために多くの参拝者が訪れる、龍泉寺の重要な信仰の対象となっています。

また、真言宗に属する龍泉寺は、本尊として弥勒菩薩(みろくぼさつ)を厳かに祀っています。杉木立に囲まれた境内には静謐な空気が漂います。時折、参拝者の読経の声が境内に響き渡る瞬間には、静寂の中で心が洗われるような感覚を覚えるかもしれません。秋の紅葉シーズンには幻想的なライトアップが施され、昼とはまた違った美しさを見せてくれるのも魅力のひとつです。

施設名 龍泉寺
所在地 奈良県吉野郡天川村洞川494
駐車場情報 駐車場あり
営業時間 8:00~17:00(お堂、寺務所、納経所)
境内散策や参拝は24時間自由

スポット6:洞川温泉ビジターセンター(龍泉寺から車で約3分)

洞川温泉ビジターセンターの外観・内観・温泉

デートの締めくくりに訪れるのは、洞川温泉街の入口に位置する日帰り温泉施設「洞川温泉ビジターセンター」。ここで、ドライブの疲れを癒やしましょう。

ここの温泉は、かつて修験者たちが厳しい修行の後に身体を癒やしてきた由緒ある湯処。名産の吉野杉を贅沢に使用した建物と、檜を用いた内湯からは優しい木の香りが立ち込め、自然に包まれているような心地よさを感じることができます。

弱アルカリ性単純泉のやわらかい湯質が特徴で、湯に浸かるとこころとからだがゆったりとほぐれていくのを実感できます。露天風呂も備えており、開放感あふれる空間で天川村の自然を感じながら入浴できるのも魅力です。

温泉を堪能した後は、夕暮れ時の洞川温泉街を散策してみるのもおすすめです。温泉街の中心には、石畳の道が続き、その両側には昭和初期の建築様式を感じさせる旅館や商店が立ち並びます。これらの建物は当時の面影を色濃く残し、訪れる人々に懐かしさと温かみを感じさせてくれます。

夕方になると、街のあちこちに吊るされた提灯に灯りがともり、温かい光が街並みを照らします。この灯りが、夜の散策を一層ロマンチックに演出し、幻想的な雰囲気を醸し出します。その独特の雰囲気から、映画やドラマのロケ地としても利用されることが多い洞川温泉街は、カップルの思い出づくりにぴったりの場所です。

施設名 洞川温泉ビジターセンター
所在地 奈良県吉野郡天川村洞川13-1
駐車場情報 有料駐車場あり(温泉利用者は90分無料)
営業時間 11:00~20:00(受付最終19:30)
定休日 水曜日

奈良県天川村のドライブコースのまとめ

おすすめの回り方
  • 全行程:約6時間半
  • 出発:大和八木駅(レンタカー推奨)
  • 終着:洞川温泉ビジターセンター
  • 特徴:標高約820mに位置する昭和レトロな温泉街、豊かな自然と歴史が融合した秘境
主な観光スポット スポット1:ごろごろ茶屋
  • 環境省「名水百選」に選ばれた天然湧水「ごろごろ水」の採水スポット
  • 採水料金500円で採水し放題(駐車料金込み)
  • 名水を使ったわらびもちなどのスイーツが楽しめる
スポット2:大橋茶屋と女人結界門
  • 修験道の歴史を伝える大峯山の登拝口
  • 葛もちや名水を使ったかき氷などの地元スイーツが味わえる
  • かつての女人禁制の境界を示す門は記念撮影スポットとして人気
スポット3:面不動鍾乳洞
  • 全長約280メートル、約30分で探索可能
  • 希少な「ストロー鍾乳管」や「珊瑚の壁」が見られる
  • カラフルなライトアップが鍾乳石を幻想的に彩る
  • 周辺には「かりがね橋」「大原山展望台」などハイキングスポットも
スポット4:きらく久兵衛味処&ごろごろショップ
  • 清らかな川のせせらぎを間近に感じる立地が自慢の食事処
  • 季節限定の鮎塩焼定食(1,750円)やもみじ定食(1,450円)が人気
  • 隣接する「ごろごろショップ」では名水や地元特産品のお土産が充実
  • 周辺には地元グルメの食事処が複数あり
スポット5:龍泉寺
  • 約1300年前に修験道の開祖・役行者により創建された古刹
  • 「龍之口」と呼ばれる岩の裂け目から湧き出る霊水が見どころ
  • 静謐な杉木立に囲まれた境内で心の安らぎを感じられる
  • 秋の紅葉シーズンには幻想的なライトアップも実施
スポット6:洞川温泉ビジターセンター
  • 吉野杉を贅沢に使用した建物と檜の内湯が特徴
  • 弱アルカリ性単純泉のやわらかい湯質でリラックス効果
  • 露天風呂からは天川村の自然を感じられる
  • 夕暮れ時は提灯の灯りがともる昭和レトロな温泉街の散策も魅力

洞川温泉観光協会の問い合わせ先

名称 大峯山洞川温泉観光協会
住所 吉野郡天川村洞川温泉
問い合わせ 0747-64-0333 / dorogawa@pearl.ocn.ne.jp
公式ページ http://www.dorogawaonsen.jp/
編集部:竹内 彩
●編集部 竹内彩

観光協会おすすめの「ドライブデート」企画や、「プロに聞くアドバイス」企画の編集を担当。地方移住に関する取材経験が150本と豊富で、各地の名所に精通。プライベートでも週2回はドライブするほどのドライブ好き。