この記事では、兵庫県西宮北部エリアを巡る魅力的なドライブコースをご紹介します。一般社団法人にしのみや観光協会の大野さんおすすめの約6時間で巡る特別なドライブコースです。
JR宝塚駅をスタート地点とし、国道176号線を軸に、趣のある山間部の景観と歴史ある街並みを約6時間かけてゆったりと巡ることができます。
全行程は約30kmで、生瀬(なまぜ)エリアから船坂地区を経由し、山口町から名塩(なじお)エリアへと続きます。車をお持ちでない方でも、チェーン店のレンタカーショップであれば、JR宝塚駅周辺で借り、西宮市内の店舗で返却できるワンウェイプランの利用が可能です。
おすすめの出発時間は午前10時。船坂から西宮南部へ抜けるルートの途中には、西宮で最も人気のあるコーヒー焙煎所もあり、ドライブの締めくくりにぴったりです。山口、船坂エリアは、車での周遊に適したアクセスの良さが魅力です。
■コース詳細
- 総所要時間:約6時間
- 走行距離:約30km
- おすすめの出発時間:午前10時
- スタート地点:JR宝塚駅周辺(レンタカー利用可)
- 主要経由地:生瀬エリア → 船坂地区 → 山口町→ 名塩エリア
■季節ごとの見どころ
- 春:いちご狩り
- 夏:有馬川の蛍(7月上旬)
- 秋:旧船坂小学校での1日限定マルシェ
- 冬:温かい郷土料理を楽しめる季節
この記事の目次
西宮北部エリアのおすすめドライブルート
西宮北部エリアを巡る魅力的なドライブコースは、季節ごとに異なる見どころを楽しむことができます。以下に、時間帯や季節に応じたおすすめルートをご紹介します。
- JR宝塚駅
↓約6分(2.9 km) - スポット1:浄橋寺
↓約10分(5.2 km) - スポット2:蓬莱峡
↓約5分(1.8 km) - スポット3:旧船坂小学校
↓約3分(700 m) - スポット4:船坂エリアのグルメ・お買い物スポット
↓約15分(8.9 km)有馬川緑道から国道176号へ。その後名塩に向かう - スポット5:谷徳製紙所
■午前中(10:00-12:00)
JR宝塚駅からスタートし、まずは浄橋寺へ。閑静な雰囲気の境内で心を落ち着かせた後、蓬莱峡へと向かいます。午前中は比較的交通量が少なく、ゆっくりと車窓からの絶景を楽しむことができます。
■お昼(12:00-14:00)
旧船坂小学校では土曜限定ランチを楽しむことができます。高台に位置する校舎からは周囲の景色を一望でき、地元の蕎麦や新鮮な野菜を使用した料理を楽しめます。予約なしでも利用可能ですが、土曜日は混雑が予想されます。小学校から100mほど先の交差点周辺には、その他にも様々な飲食店が点在しています。
このまま有馬に抜けて、帰り道には六甲芦有道路の東六甲展望台に立ち寄るのがおすすめです。西宮の街並みを一望できる絶景ポイントとなっています。
■午後(14:00-16:00)・夕方以降
名塩の和紙工房など、じっくりと地域の文化に触れることができます。
なお、より遠方まで足を延ばす場合は、山口町から篠山城下町まで1-2時間程度で到着可能です。篠山では城下町の中央駐車場に車を停め、パン屋や古民家を利用した雑貨店、名物の黒豆店など、徒歩での散策を楽しむことができます。
スポット1|浄橋寺(JR宝塚駅から車で約6分)
古くからの宿場町として知られる生瀬(なまぜ)エリア。そこに佇む浄橋寺(じょうきょうじ)には、思わず誰かに話したくなるような魅力的な歴史が息づいています。
1230年頃、京都・西山浄土宗の僧侶によって創建されたこのお寺。その名前の由来には、人々の心を打つ物語が隠されています。古くから水の難所として知られたこの地域は、約20年前にも決壊被害が出るほどの危険な場所。江戸時代には盗賊たちが出没する場所でもありました。しかし、その僧侶は驚くべき方法で盗賊たちと向き合います。「盗みを働くくらいなら、橋を架けて通行料を取ってはどうか」と説得したのです。この提案がきっかけとなり、盗賊たちは更生。その後架けられた橋にちなんで「浄橋(じょうきょう)」という寺名が付けられました。
浄橋寺には重要文化財の仏像が安置されています。普段は非公開ですが、静寂な境内はいつでも参拝可能です。
また、この地域の歴史は交通の要所としても興味深いものがあります。現在の国道176号線は、かつての有馬街道。その険しい山道には「お坊さんが亡くなった」「母子が亡くなった」といった、往時の辛い記憶を伝える地名が今も残されています。
所在地 | 兵庫県西宮市生瀬町2丁目20−24 |
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駐車場情報 | 近くに有料パーキングあり |
営業時間 | 不明 |
スポット2|蓬莱峡(浄橋寺から車で約10分)
生瀬から船坂へと続くワインディングロードの途中では、美しい渓谷美を誇る蓬莱峡(ほうらいきょう)の絶景を楽しむことができます。六甲山系特有の花崗岩質が生み出した壮大な岩肌が特徴的な景観スポットです。四季折々の自然美を楽しめる絶景スポットとして、ドライブコースの見どころの一つとなっています。
注目ポイントは、道路からチラリと垣間見える渓谷の眺めです。蓬莱峡自体は私有地のため立ち入りはできませんが、ワインディングロード沿いの適切な場所で車を停めれば、安全に写真撮影を楽しむことができます。近くでは、バス停付近の広場が撮影スポットとして利用されています。ただし、道幅が狭いため、長時間の駐停車は避けましょう。蓬莱峡は花崗岩質の岩肌が脆いため、安全面から近づきすぎることは控えめにし、道路からの観賞をお勧めします。
また、この地域には白水峡という別の渓谷スポットもあります。道路のすぐ左手に広がる白水峡からは、有馬温泉まで車でわずか15分ほど。古い街並みが残る有馬温泉への小旅行を組み合わせるのもおすすめです。
所在地 | 兵庫県西宮市塩瀬町生瀬 |
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駐車場情報 | なし(駐車が可能なスペースあり) |
スポット3|旧船坂小学校(蓬莱峡から車で約5分)
大正時代末期から昭和初期に建てられた木造校舎が、当時の面影を残したまま船坂の高台に佇んでいます。旧船坂小学校は浄橋寺から車でわずか20分ほどのアクセスで、平日も管理人が常駐しているため、内部の見学が可能です。
最大の魅力は土曜日限定で提供される特別ランチです。地元船坂エリアで収穫された蕎麦粉を使用した手打ちそばや、地元農家の新鮮な野菜を使ったハンバーグランチなど、地産地消にこだわったメニューを楽しむことができます。
船坂地区は西宮市南部より標高が高く、寒暖差が大きい気候を活かして、ほうれん草や小松菜などの葉物野菜などの栽培が盛んです。生産量が限られているため、その多くが地元消費向けとなっており、この地域ならではの味わいを楽しめます。
毎年秋には旧校舎を会場に1日限定のマルシェが開催され、地元の秋野菜の販売やキッチンカー、様々なイベントで賑わいます。公共交通機関はバスのみ(1時間に3本程度)で、車でのアクセスが推奨されるエリアですが、だからこそ残された昔ながらの佇まいと地域の食文化を存分に味わうことができます。
所在地 | 兵庫県西宮市山口町船坂2103−2 |
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駐車場情報 | 専用駐車場あり(無料) |
営業時間 | 9:00〜17:00 月曜日定休 |
スポット4|船坂エリアのグルメ・お買い物スポット(旧船坂小学校から車で約3分)
船坂エリアには、思いがけない場所に極上のグルメスポットが点在しています。その筆頭が、元スリランカの三ツ星ホテルでシェフを務めた料理人が営むスパイスカレー専門店「リトル ランカ」です。インドの伝統的な健康法『アーユルヴェーダ』の知識を活かした体に優しい要素を取り入れており、辛さ、甘さ、酸味などの味わいが絶妙なバランスで調和したワンプレートカレーを約2,000円でいただけます。特に土日は予約必須の人気店となっています。
エリア内には他にも、国産小麦100%にこだわるパン専門店や、店主の地域への愛着からこの地で開業したというフランス料理店など、個性的な飲食店が数多く点在しています。
また、西宮の女性たちの間で絶大な人気を誇るバッグブランドの直営店もあります。ヨットのセールを素材に使用した3,000~4,000円台のバッグは、その場でローマ字の名入れサービスも受けられる特別な思い出になるお土産として好評です。
ドライブの締めくくりには、盤滝トンネルを抜けた先にある「TAOCA COFFEE(タオカコーヒー)」の焙煎所がおすすめです。大型の焙煎機で焙煎された本格的なコーヒーと軽いお菓子を楽しめる喫茶スペースがあり、コーヒー豆のお土産も購入可能。駐車場も完備されているため、ゆっくりとした時間を過ごすことができます。
スポット5|名塩の和紙文化「谷徳製紙所」(船坂エリアから車で約15分)
名塩は、かつて村全体が和紙づくりを営む一大産地として栄えた土地です。現在は個人で営む工房が2軒と、教育目的の施設で、その伝統が守られています。事前予約制で紙漉き体験を受け入れている谷徳製紙所では、名塩和紙の特徴的な製法を間近で見ることができます。
名塩和紙の最大の特徴は、原料に泥を混ぜ込む独特の製法にあります。この工夫により、シミができにくく変色しにくい丈夫な和紙が生まれました。その品質の高さから、江戸時代には尼崎藩の藩札(江戸時代の各藩で発行された紙幣)の材料として採用されていたほどです。名塩紙を使った当時の藩札は耐久性に優れていました。
現在も一部の工房では金沢の金箔製造用の和紙を専門に製造しており、名塩和紙の伝統技術が受け継がれています。金箔づくりでは、金の粒を和紙で挟んで何千回も叩いて延ばしていきますが、この工程に耐えられる丈夫な和紙として名塩和紙が選ばれました。興味深いことに、この工程で使用された和紙は表面がツヤツヤになり、後にあぶらとり紙として再利用されます。金箔屋の判子が押された跡が残っているものが本物のあかしとされています。
さらに、名塩には意外な歴史的つながりも。蘭学者・緒方洪庵(おがたこうあん)の妻の実家がこの地で紙漉きを営んでおり、適塾(てきじゅく)の運営を経済的に支援していたといいます。明治時代には妻の葬儀に福沢諭吉をはじめとする適塾出身者たちが参列した記録も残されており、この地の歴史の深さを物語っています。
なお、紙漉き体験の際は狭い道路が多いものの駐車場は完備されています。貴重な伝統工芸に触れることのできる体験スポットとして、ドライブコースの見どころの一つとなっています。
所在地 | 兵庫県西宮市名塩2丁目2−23 |
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駐車場情報 | あり(道路が狭いため要注意) |
営業時間 | 9:00〜17:00 月〜木曜日 |
地元観光協会からのメッセージ
西宮北部エリアは、公共交通機関が限られているからこそ、ドライブでの観光がベストな選択となります。
このエリアの最大の魅力は、一年を通じて楽しめる季節の表情です。春から初夏かけてはイチゴ狩りやホタル観賞、秋には紅葉ドライブと、四季折々の風景を存分に楽しむことができます。特に大阪と兵庫の境界にある北摂地域から篠山にかけてのエリアは、近年まちづくりにも力を入れており、フォトジェニックなスポットも増えています。
また、地域ならではの食文化も見逃せません。地元の猟友会による管理のもと、イノシシなどのジビエ料理を提供する店舗もあります。特に武田尾廃線敷の入り口付近の店舗、畑熊商店では、高級料理のボタン鍋を手頃な価格で味わうことができます。イノシシ肉は煮込むほど柔らかくなるという特徴があり、初めての方でも食べやすい一品です。
この記事のまとめ
コース概要 |
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立ち寄りスポット | スポット1:浄橋寺
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グルメ&カルチャー |
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季節の魅力 |
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おすすめの時間配分 |
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にしのみや観光協会の問い合わせ先
住所 | 西宮市櫨塚町2-20 西宮商工会館4F |
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問い合わせ | 0798-31-7821 |
公式ページ | https://nishinomiya-kanko.jp/ |