レコード好き男性必訪!長崎の山奥にある「音浴博物館」で過ごす至福のひと時

近年、人気が再燃しているアナログレコード。若かりし日を思い出して懐かしさに浸る人から、ストリーミングとは異なる新しい音楽体験として楽しむデジタル世代まで、幅広い年代の男性を魅了しています。

そんなレコード好きがこぞって訪れる“聖地”が、長崎県西海市にある「音浴(おんよく)博物館」です。約16万枚のレコードを所蔵し、年代物の蓄音機やスピーカーで音楽を聞けるこの博物館には、「音を浴びる」ような至福の体験を求めて全国からレコードファンがやって来ます。

今回は、レコードやオーディオ機器に興味がある男性なら一度は訪れるべき「音浴博物館」の魅力について、館長の中村さんにお話を伺いました!

音楽好きにはたまらない!16万枚のレコードや貴重なオーディオ機器を所蔵

音浴博物館が所蔵するレコード

長崎県・西彼杵半島に位置する西海市。静かな森の中を車で進むと昭和時代にタイムスリップしたようなレトロな建物が現れます。ここが、1957年に建てられた小学校を再利用した「音浴博物館」です。

職業訓練校に勤めていた、故・栗原榮一朗氏が、趣味で集めたレコードを一般公開する目的で設立し、現在は特定非営利活動法人推敲の森実行委員会が西海市の委託を受けて運営しています。

館内には16万枚のアナログレコードのほか、戦前の古い蓄音機などの貴重なオーディオ機器がところせましと展示され、来館者は自由に音楽を楽しむことができます。

まずは、音浴博物館のコレクションの見どころについて紹介します。

若い男性の来館も増加中!きっとお気に入りの1枚が見つかる

音浴博物館の館内にレコードやプレーヤー、楽器が展示されるようす

編集部

音浴博物館に訪れるのは、どのような年齢層の方ですか?

中村さん

アナログレコードの全盛期が1970年代から1980年代なので、その時代に青春時代を過ごしていた方も多いですが、最近はレコードブームということもあって若い世代の方も増えています。

編集部

レコード世代ではない人の来館も増えているのですね。

中村さん

世界で人気が高まっている日本のシティ・ポップをはじめ、ニューミュージック、昭和歌謡などをきっかけにレコードの世界に足を踏み入れたという若い方が多いですね。

館内にはさまざまなジャンルのレコードがあり、私たちからお客様におすすめをご紹介することもあるのですが、クラシック・ジャズからザ・ビートルズ、クイーン、「YMO」、細野晴臣、大瀧詠一らによる「はっぴいえんど」、山口百恵など、皆さんそれぞれに異なるお気に入りを見つけていただいています。

音浴博物館で見ることができるザ・ビートルズのレコード

音浴博物館で見られるレコードの一部

編集部

SP盤やLP盤、ドーナツ盤など16万枚のレコードを所蔵しているそうですが、洋楽と邦楽ではどちらが多いですか?

中村さん

LP盤は圧倒的に洋楽が多く、シングル盤は日本の歌の方が多いですね。

オーディオ好きの男性も魅了。スピーカー5台で音を聞き比べ、感涙する人も

たくさんのスピーカーが置かれた音浴博物館のイベントホール

編集部

戦前の蓄音機など、貴重なオーディオ機器もたくさんあると伺いました。

中村さん

エジソンが開発し、100年以上前に作られた蓄音機や、寄贈された世界中から集めたスピーカー、ジュークボックス、年代物のスピーカー、アンプなどを所蔵しています。

特に、1947年に米国RCAビクターが開発し、エルビスもデビュー当時使っていたモニタースピーカーと同型のモノや、1970年代の日本ビクターが発売しオーディオ・マニアの間で名機と呼ばれる「SX3」、高級オーディオ機器ブランド「Technics」が1970年代に製造した「SB-7000」、佐々木硝子が1985年に発売したガラス製のスピーカーもあります。

当館に来てくださる方の中には、レコードよりもオーディオに興味があるという男性も多いんですよ。

音浴博物館が所蔵するジュークボックス

編集部

スピーカーの音を聞き比べることもできるのですか?

中村さん

はい。イベントホールに常時5種類のスピーカーをセットアップしています。

デジタル時代向けに作られたスピーカー、アナログ時代に作られたスピーカー、ヨーロッパ的な音のするイギリス製スピーカー、アメリカ製のハイスペックなスピーカー「JBL4345」、ジャズ・オーディオの代表格「アルテック」の5台があり、聞き比べながら音の違いを楽しんでいただけます。

編集部

スピーカーの音を聞いたお客さんの反応はいかがですか?

中村さん

スピーカーの素晴らしさを伝えるために、そのスピーカーで聞いてほしい名曲をかけるのですが、感動して涙を流す方もいます。

美空ひばりなど若い方が知らない曲を流すこともありますが、その曲を知っているかどうかに関係なく皆さん感動されます。良い音響機器を使えば、曲に込められた感情がしっかりと聞き手に伝わるのだと思います。

編集部

普段はイヤホンで音楽を聞いている人が多いと思いますが、音浴博物館は「音の魅力」を再発見できる場所とも言えますね。

時代とともに進化したアンプの歴史に触れる

編集部

アンプは何点ほど所蔵していますか?

中村さん

1970年代前半から1990年代後のものを20〜30点所蔵しており、このうち4点を、お客様に実際に使っていただけるように常時入れ替えながらセットアップしています。

編集部

時代によって特徴も変わるのでしょうか?

中村さん

アンプは何度か大きな進化を遂げています。蓄音機のラッパで音を大きくする時代から真空管で音を大きくする時代へと移り、その後電子部品で音を大きくするトランジスタアンプが登場しました。

今はデジタル時代に応じたアンプが作られるようになりました。

一般的に真空管は温かい音色、トランジスタは硬い音色と言われますが、当館でそれぞれのアンプが生み出す音質の違いを楽しんでいただくのも良いと思います。

ビートルズの“お宝”や1950年代の古い雑誌も

「家庭画報」など音浴博物館が所蔵する昔の雑誌

編集部

レコードやオーディオ機器以外にコレクションしているものはありますか?

中村さん

音楽関連だと、ビートルズが出演していたリヴァプールのライブハウス「キャヴァーン・クラブ」の内装に使われていたレンガを所蔵しています。

リニューアルのためにライブハウスが解体された時に5000個限定で競売にかけられた希少なものです。

編集部

ビートルズ好きにはたまらないお宝ですね。

中村さん

普段は公開していないので、ご覧になりたい方がいたら当館のスタッフまでお声がけください。

編集部

音楽の歴史がわかるような書物などの資料もありますか?

中村さん

テーマは音楽に限りませんが、昔の雑誌が数百冊あります。ファッション雑誌もあれば、今の時代だと不適切と判断される内容のものまで、ざまざまです。

1950年代後半に創刊された女性向け雑誌「家庭画報」の創刊号もありますよ。今は2〜3センチの厚さのオールカラーの雑誌ですが、当時は5ミリ程度の薄さで藁半紙のような紙に白黒で刷られており、グラビアページも少なかったんですよ。

編集部

雑誌に目を通せば、お気に入りのレコードが発売された時代の流行や文化に対する理解も深められそうですね。

初めての男性は知識豊富なスタッフによるガイドツアーを利用しよう

音浴博物館のスタッフが来館者を案内するようす

編集部

たくさんのコレクションをお持ちの音浴博物館ですが、初めて訪れる人に向けたサービスはありますか?

中村さん

初めての方向けに、当館スタッフと館内を巡る無料のガイドツアーがあります。建物が三つに分かれており、レコードの歴史が古い方からご案内していきます。

参加者様の興味に合わせて説明内容も変えていますので、気になることがあれば何でも聞いてくださいね。

編集部

音浴博物館は廃校を活用した施設ということで、建物自体にも趣がありそうですね。

中村さん

そうですね。ツアーの冒頭では建物の歴史についてもご紹介しています。

この地域はもともと、第二次世界大戦後に旧満州から引き揚げた人たちが入植した場所で、博物館の建物は開拓団の小学生たちが通う分校でした。1976年に廃校となった後、ベトナム戦争を逃れて日本にやってきたベトナム難民の受け入れ施設として増築され、1995年まで利用されました。

そして、岡山県倉敷で古いレコードや機材を収集していた栗原榮一朗が5万枚のレコードを展示するためにこの地に移住し音浴博物館を設立したのが2001年のことです。

編集部

過去の歴史に思いを馳せながら館内を見学できそうですね。初めて訪れる人へのアドバイスもありましたら、お願いします。

中村さん

初めての方、特にお若い方は分からないことも多いと思います。だからこそ、ここでは「この音楽を聞くんだ」とガチガチに決め込むのではなく、ほかの方がどんなものを聞いているのかを観察して自分の知識として取り入れるつもりで過ごしていただくのが良いと思います。

スマートフォンで音楽を聞く時代では、隣の人がどんな曲を聞いているのか分かりませんよね。そこに新しい発見があるかもしれないのに、それができないのはもったいないことだと感じます。当館はイヤホンを貸し出していませんので、いろんな音楽が耳に入ります。「あの人が聞いている曲、いいな」と思ったら館内スタッフに曲名をお尋ねいただき、ご自身の音楽の世界を広げてください。

編集部

音浴博物館という名前の通り、オープンな姿勢で「音を浴びる」ことで、新しい曲との出会いが生まれるのですね。若い男性も、昔の音楽の魅力を発見できそうです。

音浴博物館は穴場の観光地として「最強のB面」を目指す

レコードがストックされた音浴博物館の棚

編集部

西海市は長崎市と佐世保市の中間にあるので、長崎観光のルートに組み込むこともできそうですね。

中村さん

西海市の観光課の方とよく話しているのが、「最強のB面になりたい」ということです。レコードにはA面とB面がありますよね。皆さんだいたいA面の曲を目当てに購入するのですが、「B面を聞いたら、B面の方が良かった」と思ったことがある方もいるのではないでしょうか。

長崎にはハウステンボスや長崎バイオパーク、グラバー園など、A面の観光地がたくさんあります。私たちは、「途中にある音浴博物館に寄ってみたら想像以上に良かったね」と思っていただけるような最強のB面を目指しています。

編集部

ぜひ多くの方にB面まで楽しみつくしてほしいですね。最後に、音浴博物館に興味を持ったレコード好きの男性にメッセージをお願いします。

中村さん

音浴博物館は山奥にあり、周辺環境も含めて「レコードがあった時代」を感じていただける場所です。レコードの持つ音の温かさを体感しにぜひお越しください。

編集部

時を忘れて音楽に没入できる音浴博物館。素敵な音をたくさん浴びれば、日頃のストレスや仕事の疲れも癒やされそうですね!

中村さん、本日はありがとうございました。

音浴博物館の口コミ・評判

ここからは、音浴博物館を訪れた人のネット上の口コミを紹介します。

素晴らしい環境でレコードを聞くことができました。音楽好きなら何時間でも滞在できる最高の隠れ家です。

アナログレコードの素晴らしさを知って感動しました。イヤホンで聞く音楽とは違う、体に響くスピーカー音の魅力を知りました。

アナログオーディオ世代です。当時憧れだったレコードやオーディオ機器がたくさんあり、懐かしい気分になりました。

音のシャワーを浴びて、昭和時代にタイムスリップしたような気分になりました。音を浴びながら眼を閉じると涙があふれ、心が洗われるようでした。

レコードをスピーカーで聞くことの素晴らしさを体験できる博物館です。施設の建物自体にも歴史があり、興味深かったです。

口コミからは、アナログ世代は懐かしさ、デジタル世代は新鮮さを感じ、誰もが大満足できる施設であることが伝わってきました。

音浴博物館の入館料・アクセス

音浴博物館の入館料は、以下の通りです。

一般    小・中学生 小学生未満
850円 400円 無料

音浴博物館は長崎市と佐世保市の中間に位置し、どちらの駅からも車で1時間以上かかります。

ハウステンボスまで50分、かつて「東洋一のアーチ橋」と呼ばれた西海橋まで30分、動植物園の長崎バイオパークまでは25分なので、音浴でリフレッシュした後は長崎観光を楽しんではいかがでしょうか。

音浴博物館の基本情報

運営会社 特定非営利活動法人推敲の森委員会
所在地 長崎県西海市大瀬戸町雪浦河通郷342-80
問い合わせ先 電話:0959-37-0222
メール::info@onyoku.org
営業時間 10:00〜18:00(入館受付17:00まで)
定休日:木曜日 ※祝祭日の場合は翌平日、12月29日〜1月3日
公式ページ https://onyoku.org/

※最新の情報はホームページ等でご確認をお願いいたします。