
プレゼンのコツを知りたいけれど、どこから始めればいいのか分からない。話す内容は準備できても、いざ人前に立つと緊張して自分の実力を発揮できない—。そんな20〜50代のビジネスパーソンに向けて、聴衆を惹きつける効果的なプレゼンテーション術をご紹介します。
話し方のプロとして多くのビジネスパーソンの話し方を指導している、元テレビ局アナウンサーの樋田かおり氏にお話を伺いました。
▼聴衆を惹きつけるプレゼン術
第一声 | ・高低アクセントを使う ・「皆さん」の呼びかけに命をかけて声を張る |
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間の活用 | ・ページ送りや話題転換時に意識的に間を取り、重要点を印象付ける |
声のトーン調整 | ・内容に応じて声色を変える ・聴衆層に合わせたスピードで話す |
視線とジェスチャー | ・Z字視線移動で全体に目を配る ・重要ポイントは体全体で表現する |

この記事の目次
プロが伝授!ビジネスを成功に導くプレゼンのコツ
あなたの素晴らしいアイデアが響かない—その原因は「伝え方」にあるかもしれません。
どれほど優れた企画や提案も、聴衆の心に届かなければ宝の持ち腐れ。多くのビジネスパーソンが「何を話すか」には時間をかけても、「どう伝えるか」という技術に目を向けていないのが現実です。しかし、実はこの「伝え方」こそが、プレゼンの成否を分ける重要な鍵なのです。
そんな重要な鍵となる「伝え方」ですが、実はプロのアナウンサーが実践している技術を取り入れるだけで、プレゼンの質は飛躍的に向上するのです。
今回は、ビジネスの成功率を高める「伝わるプレゼン」の4つの核心的テクニックをご紹介します。第一声での印象づけから、効果的な間の活用法、声のトーンやスピードのコントロール、そして視線配りまで、特別な才能がなくても明日から実践できる具体的な方法ばかり。
それでは、誰でも真似できる4つの秘訣をお伝えします。
テクニック1:第一声に命をかける
ビジネスプレゼンでありがちなのが、自信なさげな小さい声での出だしです。どれだけ内容を準備しても、最初の印象が弱いと聴衆の注目を集められず、プレゼン全体の評価が下がってしまいます。冒頭から「この人の話は聞く価値がある」と思わせなければ、聴衆の心をつかむことはできません。
これを解決するのが、最初の一言、特に「皆さん」や「皆様」といった呼びかけの4文字に命をかけること。具体的には「高低アクセント」を意識します。これは高い音から始まって低い音に下りる抑揚のことで、これを使うことで棒読みや弱々しい印象を避けられます。
例えば「皆さんこんにちは、本日はよろしくお願いいたします」と淡々と言うのではなく、「皆さんこんにちは!」と、冒頭を高く、声を張って話します。第一声を大きく高くすることで、聴衆の顔を上げさせ、注目を集めることができるのです。この出だしの工夫だけで、プレゼンの成功率は大きく変わります。
テクニック2:“間”を効果的に活用する
プレゼンでよく見られる失敗が、「息つく間もなく言葉を連続して発すること」です。
緊張すると私たちは早口になりがち。情報を詰め込みすぎて、聴衆を置いてけぼりにしていることに気づかないものです。特に、決められた時間内に収めようと急ぐあまり、間を取らずに話し続けてしまうと、聴衆は疲れてしまい、重要なポイントも頭に入りません。また、声が大きくて間がないと怒鳴っているように威圧的に感じられることもあります。
これらを解決するのが、適切な間を取ること。効果的に間を取ることで、聴衆に内容を消化する時間を与え、重要なポイントを印象付けることができます。
特にスライドのページを送るときや話題が切り替わるときには意識的に間を取りましょう。これにより「ここからは違う話が始まる」というシグナルを送ることができます。
また、プレゼン中に「皆さんはこれについてどう思いますか?」といった問いかけを入れ、その後に5秒ほどの間を取ることも効果的です。5秒というと少し長く感じるかもしれませんが、自分が思っているよりしっかり長めに間を取っても、聴衆はそれほど気にしません。むしろ、内容が整理しやすくなり、理解度が高まります。
さらに、重要なメッセージを強調するにも、間は効果的です。核心となるサービス名やキーワードの前に意識的に間を置き、そのフレーズを声を大きくして話すことで印象に残ります。情報を詰め込むよりも、間を活用して重要なポイントを浸透させましょう。
事前準備のコツは、プレゼン資料に「間」の位置を印で記しておくこと。例えば、スライドのノート部分に「ここで3秒間」などとメモしておくことで、緊張していても間を忘れずに取れます。
テクニック3:声のトーンとスピードを調整する
退屈してしまうプレゼンでありがちなのが、メリハリのない単調なリズムで話し続けること。これは大勢の前では印象が薄く、聴衆の集中力を維持できません。また、聴衆に合わないスピードで話すことは、理解不足も招きます。
これを解決するのが、声のトーンとスピードの調整。多くの人の注目を集めるためには、聴衆を振り向かせるような声のトーンを意識しましょう。
具体的には、内容に応じて声のトーンも変化させます。ビジョンや成果を語るときは、明るく、エネルギッシュな声色で、課題や問題点を説明するときは、落ち着いた、真摯なトーンで、そして最重要ポイントを強調するときは、一段階大きく、はっきりとした声で話してみてください。
このようにトーンを使い分けることで、聴衆を退屈させることなく、注意を引くことができます。
また、聴衆に合わせてスピードを調整することも忘れないでください。若い層や同じ業界の人には比較的速めに、専門知識のない人やシニア層には、ゆっくりとわかりやすく丁寧に話すなど、柔軟に対応しましょう。
声のトーンを効果的に作るためには日常的なトレーニングも有効です。「アメンボ赤いなあいうえお」などの発声・滑舌の練習を取り入れることで、普段から大きな声を出すことに慣れ、より自信を持って話せるようになります。特にマイクなしでプレゼンする機会が多いビジネスシーンでは、声の大きさとハッキリとした話し方が信頼性に直結します。
テクニック4:視線配りとジェスチャーを使いこなす
プレゼンターがしばしば陥る失敗として、視線が一部の聴衆にのみ向けられていたり、重要なポイントが強調されずに埋もれてしまったりすることがあります。特に人数が多くなると、全員に目配りすることが難しくなり、後方の聴衆は置いてけぼりにされた感覚を持ってしまいます。また、一律に話すと、何が重要なのかが伝わりません。
これらを解決するのが、聴衆の人数に応じた視線配りの工夫です。10人程度の少人数なら一人ひとりの目を見て話し、30人以上なら中央と左右両方の3か所に視線を配ります。こうすることで、人数が増えてもキョロキョロした印象を与えず、全体に話していることが伝わります。
さらに大人数の場合は、Z字の視線移動テクニックが有効です。会場の後方左から後方右、そして左手前へとZを描くように視線を送ります。特に冒頭部分では、「後方の席の方もよく見えていますか?」といった声かけで後方の人にも「あなたにも語りかけていますよ」という印象を与えましょう。
強調するためには、ジェスチャーも活用しましょう。スクリーンを指し示す、重要なポイントを話す際に前のめりになるなどの動作で、熱意や重要性を体全体で表現できます。
また、歩きながらプレゼンする場合は、動く場所と目的をあらかじめ決めておき、ただフラフラと歩かないよう注意が必要です。例えば「次に別の視点から考えましょう」と言いながら一歩横に移動すると、話題の切り替わりが視覚的にも伝わります。計画的な動きで、堂々とした印象を与えられます。
プレゼン上達をプロの指導で確実に!アナウンサー直伝の話し方講座
「コツは分かったけど、自分一人では上手くできているか分からない…」
「練習しても自信が持てず、本番で力を発揮できない…」
そんな悩みを抱えるビジネスパーソンは少なくありません。プレゼンの技術は、知識として理解するだけでは不十分。実践と適切なフィードバックがあってこそ、本物のスキルとして身につくのです。
そこで頼りになるのが、日本アナウンサーキャリア協会が提供する「司会者検定3級」。この検定は、自分の声でその場をプロデュースする力を体系的に学べるプログラムです。
「司会者」と聞くと特別な職業のように感じるかもしれませんが、その本質は「場の空気を整え、人々を目的地へと導く話し方の技術」。まさにビジネスプレゼンに求められるスキルそのものです。
適切なアナウンスでの進行方法や、シーンに合わせた雰囲気づくり、発声・発音・滑舌の基礎から、プロミネンス(強調)、スピード、間の取り方、声のトーンまで、話し方の基本を徹底的に学びます。さらに、時間管理や臨機応変な対応など、本番で役立つ実践的なスキルも習得できます。
特に価値があるのは、最後に行われる実践テストとフィードバック。プロの講師から直接アドバイスを受けることで、自分では気づかない癖や改善点を把握し、スキルアップを目指せます。
参加者の多くは20代後半から40代中盤の男女で、特に次のような目的で利用されています。
- 営業職:商談やプレゼンで顧客の心をつかむ技術を磨く
- マーケティング担当者:オンラインセミナーで効果的な情報発信力を高める
- 管理職:チームミーティングでの進行や動機づけのスキルを向上させる
- 講師・教育者:長時間でも聴衆の集中力を維持する話術を学ぶ
講師陣は、かつてテレビ局でレギュラー番組を持ち、何千、何万という視聴者の心を掴んできたアナウンサーたち。その豊富な実践経験と専門知識を、体系的なカリキュラムとして凝縮しています。
記事で紹介した4つのテクニックを土台に、さらに専門的な指導を受けることで、ビジネスシーンでの「話す力」は大きく変わります。次のプレゼンやスピーチで、これまでにない手応えを感じたい方は、ぜひ一歩踏み出してみてください。
サービス名 | 司会者検定3級 |
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受講料 | 32,780円(税込) |
公式ページ | https://anacari.work/examination/presenter-03/ |
提供会社 | 一般社団法人 日本アナウンサーキャリア協会 |
※詳細は公式ページでご確認ください
プレゼンのコツとテクニックまとめ
テクニック1:第一声で聴衆を惹きつける |
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テクニック2:間を効果的に活用する |
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テクニック3:声のトーンとスピードを調整する |
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テクニック4:視線配りとジェスチャーを使いこなす |
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観光協会おすすめの「ドライブデート」企画や、「プロに聞くアドバイス」企画の編集を担当。地方移住に関する取材経験が150本と豊富で、各地の名所に精通。プライベートでも週2回はドライブするほどのドライブ好き。