精密なディテールを好む男性を虜に!清水三年坂美術館で刀装具や金工などの超絶技巧の作品鑑賞

歴史情緒あふれる街並みや数々の寺社仏閣、四季折々によって異なる表情を見せる自然など、多彩な魅力を持つ京都。歴史・寺社巡りが好きな男性の一人旅にも最適な観光スポットです。

今回はそんな京都で、幕末・明治の工芸品を鑑賞できる「清水三年坂美術館」をご紹介します。

清水三年坂美術館は幕末・明治の工芸品を常設展示しており、日本の作家による超絶技巧の作品を間近で観賞することができる美術館です。精密なディテールを好む男性、幕末・明治の時代が好き(ロマンを感じる)な方におすすめのスポットですよ。

人気の観光スポットを巡るのも楽しいですが、落ち着いた空間で工芸品を見てみるのもいかがでしょうか?

幕末・明治の”超絶技巧”工芸作品を鑑賞できる「清水三年坂美術館」

清水三年坂美術館の2階展示室の様子

京都市東山区にある「清水三年坂美術館」は、幕末・明治の工芸品を常設展示する日本で初めての美術館です。

取り扱っている工芸品は、いずれも館長の村田理如さんが収集した個人コレクション。幕末・明治の金工・七宝・漆工・京薩摩・彫刻・刺繍絵画などの工芸品を約1万点収蔵しており、約60点を常設で展示。1年を通して様々な作品を鑑賞できるよう、随時展示の入れ替えがなされています。

比較的小規模な美術館のため、30分〜1時間ほどで見てまわることが可能。

来館する男性の層は40〜50代が最も多く、おひとり様やご夫婦で来られる方がほとんどとのこと。美術工芸はもちろん、幕末・明治時代の歴史に興味を持って来館される方が多いそうです。

清水三年坂美術館は観光客などで賑やかな通りに面していますが、館内は静かで落ち着いた雰囲気が漂っています。

心地よい静寂さのなかで、技巧を凝らした作品をゆっくり鑑賞できる美術館です。

工芸品を通して幕末・明治時代に触れる。海外に流出していた名品も展示

清水三年坂美術館に展示されている彫刻「「南国珍果(パイナップル、バナナ)」

▲《南国珍果(パイナップル、バナナ)》安藤緑山の作。精巧な彫刻作品はまるで本物のよう。

幕末・明治時代に生まれた金工・七宝・漆工・京薩摩・彫刻などの工芸品には、美しさや職人の技術の高さ、そして歴史的な背景からくる魅力があります。

人間技とは思えないほど精密なデザインで、誰をも魅了するほど華麗で優美。それゆえ、この時代の工芸品は「超絶技巧の工芸品」と呼ばれています。

幕末時代から明治時代にかけての時期は、長らく鎖国の状態にあった日本が開国に踏み切り、政治・経済・文化などあらゆる分野で急速に改革、近代化が進行した激動の時代でした。

日本の工芸品は、開国によってその多くが流出したため、国内では希少な美術品となっていたのです。

清水三年坂美術館では、海外から買い戻した幕末・明治時代の細密華麗な名品や、皇室より制作の奨励を受けていた帝室技芸員※による洗練された美しい作品を観賞することができます。
※帝室技芸員(ていしつぎげいいん):明治時代に設けられた制度で、優秀な美術家や工芸家に対し皇室から栄誉を与えて、制作の奨励および界隈の発展を図ろうとした。

常設展では、幕末以降の七宝・金工などの工芸品の中でも特に「細密華麗で優れた名品」を鑑賞することが可能です。

清水三年坂美術館では単眼鏡の貸し出しも行っているので、ぜひ単眼鏡を使って細部まで鑑賞して、作品の緻密さや作家たちの技巧の凄さに触れてみてください。美術工芸品が好きな男性はもちろん、歴史好きな人、幕末・明治期にロマンを感じる方もきっと魅了されるでしょう。

工芸好きの琴線に触れる作品が多数!刀装具や金工品が好きな男性にもおすすめ

清水三年坂美術館は、他の美術館に比べて刀装具や金工品の展示が多いのも特徴の一つです。

刀装具の鐔(つば)は、柄を握る手が上にすべるのを防ぐために使用されたものですが、彫金や象嵌などの細かい技術が盛り込まれており、工芸品としても愛されています。

彫金では、金属に精巧な模様や図柄を彫り込むことで美しい装飾を施し、象嵌では異なる素材を組み合わせて装飾を施しています。

清水三年坂美術館に展示されている刀装具「牡丹孔雀図大小鐔」

▲《牡丹孔雀図大小鐔》石黒政美の作

武士の威厳や格式を象徴する重要な要素でもあった刀装具。個々の違いを比べながら、使用していた武将はどんな方だったのかなと想像するのも楽しそうですね。

金工品は、金や銀などの貴金属を使った器や装飾品です。数ある金工品の中でもおすすめとされているのが、正阿弥勝義(しょうあみかつよし)の作品。

正阿弥勝義は金工作家になる前は刀装具制作に従事しており、正阿弥勝義の作品は刀装具で培った技術も盛り込んだ、リアルで優美な金工品が特徴です。常設展では《蜻蛉図香合》という直径8cmほどの蜻蛉モチーフの作品を見ることができます。

清水三年坂美術館に展示されている金工作品「蜻蛉図香合」

▲《蜻蛉図香合》正阿弥勝義の作

そのほかにも、生動感あふれるデザインで精巧な彫金技術が光る加納夏雄(かのうなつお)の作品や、実物を忠実に再現した色彩感のある海野勝珉(うんのしょうみん)の作品も所蔵。精密なディテールを好む男性や、幕末・明治の工芸好きにはたまらないラインナップとなっています。

清水三年坂美術館に展示されている金工作品「秋月図巻煙草入」

▲《秋月図巻煙草入》加納夏雄の作

3ヶ月ごとに企画展を開催。毎回異なるテーマで何度来ても楽しめる!

清水三年坂美術館では常設展のほか、年に4回企画展を開催しています。企画展ごとにテーマを決め、常設展では取り扱う機会が少ない作品や、これまで紹介していなかった作品が展示されています。

先にご紹介した刀装具も、過去に企画展が実施されています。

過去の企画展:京の刀装具
過去の企画展:絢爛たる刀装具 石黒派

3ヶ月ごとに企画展が開催されているので、清水三年坂美術館に一度訪れたことのある方も、見たことがない作品を目にすることができますね。

現在は、6月2日(日)まで「絹の輝き・繍の技 ―里帰りした刺繍絵画」が開催中です。明治時代に制作された、刺繍絵画の優品や天鵞絨(ビロード)友禅などの染織品が展示されています。

刺繍の技法、重なり合った絹糸の輝きによって作り出された刺繍絵画はまるで写真のよう。今にも絵画から飛び出してきそうな作品を、一人の時間を楽しみながらじっくりと眺めてみてください。きっと、日常を慌ただしく過ごしているビジネスマンの癒しのひと時になるでしょう。

企画展:絹の輝き・繍の技 ―里帰りした刺繍絵画

次回は「加賀蒔絵と京蒔絵」を開催予定。今後の企画展についてもホームページで公開されているので、気になる方はぜひチェックしてましょう。(2024年5月時点)

パネルや映像の解説でさらに作品のすごさに触れる!館長直々の展示解説もあり

清水三年坂美術館の金工の技法解説

▲金工の技法解説

清水三年坂美術館では、各作品の制作工程見本やパネルによる解説があるほか、1階の「情報コーナー」では収蔵品や工芸技法を紹介する映像が常時放映されています。

作品そのものの凄さを楽しめるだけではなく、制作の過程などを知ることで、より深く作品の良さに触れることができるでしょう。

さらに、予約制で館長による展示解説も行われています。実際に作品を収集した方から作品の魅力などを直接聞きながら、鑑賞できます。各作品の背景を知って、自身の歴史の知識と組み合わせることで新たな気づきや学びを得る機会になることでしょう。

館長による展示解説案内は、1名から受付可能。数々の美術工芸品を目にしてきた館長から1対1でじっくりとお話を聞くのもよし、ご夫婦やご友人同士でお話を伺い知見を深めていくのも良し。

申し込みする場合は、ホームページに公開されているフォーマットをFAX・メールで送付するか、美術館に直接電話しましょう。

▼「館長による展示解説案内」の概要

解説料 10,000 円(税込)※1団体につき
時間帯 9:30~10:30/16:30~17:30
解説時間 60分程度 ※都合により短縮することも可能
申込方法 TEL:075-532-4270 
FAX:075-532-4271
メール:info@sannenzaka-museum.co.jp

※参加人数が多い場合は、2グループに分かれる場合があります。
※当日の申し込みは対応できません。必ず3週間前には連絡しましょう。
※日程によっては、申込みしても希望に添えない場合があります。

近隣に清水寺などの歴史的建造物も多い。歴史好き男性の一人旅に立ち寄りやすい立地

清水三年坂美術館は、清水寺の近くにあります。「清水の舞台」で知られる清水寺は、1994年にはユネスコ世界文化遺産に登録され、境内には30以上の国宝と重要文化財がある寺院です。季節ごとに違った景色も楽しめることもあり、歴史好きの方から観光客まで多くの方が訪れる観光スポットとなっています。

公式:清水寺

他にも近くの法観寺には、「八坂の塔」と呼ばれる国の重要文化財に指定された五重塔があります。清水寺を参拝してから清水三年坂美術館に行ったり、八坂の塔から清水三年坂美術館に立ち寄って清水寺に参拝したりなど、歴史観光を兼ねて立ち寄ってみてはいかがでしょうか。

公式:法観寺(八坂の塔)

また、伝統的な日本建築とお土産店が立ち並ぶ”産寧坂(三年坂)”があるので、清水三年坂美術館の後にショッピングを楽しむ、ということもできます。

清水三年坂美術館の近くには、甘味処やお食事処も周辺にたくさんありますので、じっくりと幕末・明治の名品を鑑賞したあとに、近くの飲食店でその時代に思いを馳せたり、一緒に行った方と作品についてお話ししたりするのもいいですね。

このように、清水三年坂美術館は周辺に観光スポットがたくさんあるので、遠方から京都旅行に訪れた方はもちろん、京都や近郊にお住まいの方にとっても、週末のお出かけ先におすすめです。

歴史や工芸が好きな男性がお一人で気ままに作品鑑賞するのも良いですが、ぜひカップルやご夫婦でも足を運んでみてくださいね。

清水三年坂美術館の口コミ

ここでは、清水三年坂美術館を訪れた方の口コミを紹介します。

こじんまりとした美術館です。ただ内容の濃さは大きな美術館に匹敵すると感じるほど、超絶技巧の美しい美術品の数々が並んでいます。

明治から大正時代の超絶技巧の作品がたくさん所蔵されています。見応え抜群であり、何度も見たくなる充実さです。根付、七宝、彫金の技法に触れるのも興味深く時間を忘れます。

往来の人混みから隔絶された静かな空間で、目を見張る超絶技巧の美術品の数々の迫力に圧倒されます。

美術品の展示と制作過程の説明と材料の説明もしっかりあり、一階では美術の制作過程をわかり易く説明したビデオが流れている内容の濃い美術館です。七宝や金工など名前は聞いたことはあっても、製作方法などは知らなかったので大変勉強になりました。

口コミの多くに「超絶技巧」という言葉が頻出しており、清水三年坂美術館に展示されている作品に凝らされている技術の高さに感服した方が多いことが分かります。

観光客の方が多い通りに位置していながら、静かな空間で時間を忘れるほど美しい工芸品の数々に見惚れてしまう方がたくさんいらっしゃるようです。

清水三年坂美術館の入館料

一般 1,000円
大学・高校・中学生 600円
小学生 300円
幼児 無料

※団体(20名以上)20%割引
※障害者手帳をお持ちの方と付き添い者1名は、50%割引

清水三年坂美術館の基本情報

所在地 京都府京都市東山区清水寺門前産寧坂北入清水三丁目 337-1
アクセス JR・近鉄電車・市営地下鉄「京都駅」より市バス乗車、「清水道」下車、徒歩7分
京阪電車「祇園四条駅」より徒歩約20分
京阪電車「清水五条駅」より徒歩約30分
阪急電車「河原町駅」より徒歩約25分
開館時間 午前10時~午後5時(入館は午後4時30分まで)
休館日 月・火曜日(祝日開館)
年末年始
展示替期間
※都合により臨時休館する場合がございます。
連絡先 TEL : 075-532-4270
FAX : 075-532-4271
MAIL:info@sannenzaka-museum.co.jp
駐車場 なし。周辺の有料駐車場をご利用ください。
※三年坂は土・日・祝の午前10:00~午後5:00の間、車両通行禁止となります。
公式ページ https://sannenzaka-museum.co.jp/

※最新の情報はホームページ等でご確認をお願いいたします。