約1300年前、北の大陸から北海道オホーツク海沿岸部に移り住んだという「モヨロ人」。クジラやアザラシといった海獣をとらえ食糧とし、日本の本州とも交易する独特の生活を営んでいました。
そんな狩猟民族の文化を知ることができるのが、北海道網走市にある「モヨロ貝塚館」です。
敷地内には、日本の他の地域と比べるとひと回り大きい竪穴式住居(たてあなしきじゅうきょ)跡や、モヨロ人が狩猟に使った道具、捕えた海獣の骨などが展示されています。そのスケールの大きさや迫力はまさに、“男のロマン”と言えるでしょう。
この記事では、歴史好きの男性を魅了するであろう「モヨロ貝塚館」の魅力をたっぷりと紹介します。
この記事の目次
モヨロ人の海獣狩猟・漁業の技術に触れられる「モヨロ貝塚館」
モヨロ貝塚館は、北海道網走市にある「網走市立郷土博物館」の分館にあたる施設です。網走市立郷土博物館は網走とオホーツクの「自然」「歴史」「文化」について伝える総合博物館で、分館・モヨロ貝塚館には遺跡とオホーツク文化の資料が集約されています。
モヨロ人は北海道のアイヌ文化期以前で、およそ1300年前に北の大陸から網走周辺へと移り住み、巧みな航海術と海獣狩猟・漁業の技術を持って暮らしていました。「オホーツク文化」と呼ばれる独自の文化を発展させていきましたが、9世紀頃になると忽然と姿を消したと言われています。
そんなモヨロ人の当時の暮らしが垣間見える「モヨロ貝塚」は、1936(昭和11)年に国の史跡に指定・保護されています。モヨロ貝塚館は、モヨロ貝塚を中心に古代オホーツク文化を知ることのできる数々の資料が展示されているので、歴史に興味のある男性にピッタリの場所です。
また、周辺には「網走市立美術館」もあるので、あわせてめぐってみることで網走やオホーツクの文化・風土をより多角的に知ることができます。
「ブラタモリ」で紹介。男性が家族や彼女と記念撮影できる人気のスポットもあり
モヨロ貝塚館を訪れる方の中には、歴史・考古学好きな男性のほか、「街道をゆく」「ブラタモリ」などの紀行・歴史系テレビ番組で取り上げられたことをきっかけに興味を持った男性も多いそう。いにしえの人々の生活の跡には、男性を惹きつける壮大なロマンが詰まっているのでしょう。
一方、展示には映像やジオラマも使用され、分かりやすい解説がついているので、歴史的施設とあまり縁がなかったような方でも、オホーツク文化に親しみやすくなっています。
モヨロ人を再現したリアルな像は、デートで訪れるカップルや、ファミリーの記念撮影スポットとしても人気があります。日によっては解説員の方が在館されるので、お手すきであれば詳しいお話が聞けるかもしれません。
1300年前のモヨロ人の遺物が、男の好奇心をくすぐる
モヨロ貝塚館では、発掘調査から明らかになったモヨロ人の暮らしを、「住居」「墓」「貝塚」などテーマ別に展示しています。中には、モヨロ人が残した遺物も飾られています。
そして、モヨロ人が織りなしたオホーツク文化はその名前が表すように、日本列島の中でもオホーツク海の沿岸部のみで栄えた独自の古代文化であり、生活様式や思想に、他では見られないさまざまな特色があります。
ここでは、大人の男性の知的好奇心を刺激する、モヨロ貝塚館の見どころについてご紹介します。
竪穴式住居跡は通常より倍以上大きい直径約15m。建築好きの男性も必見の迫力
▲竪穴式住居の跡。モヨロ人が実際にここに暮らしていたという実感が沸いてくる
モヨロ貝塚館の屋外には、地面に穴を掘って作られた竪穴式住居の跡があります。オホーツク文化の竪穴式住居は五角形や六角形という形をしていて、遺跡からはその大きさや深さを知ることができます。
縄文時代などの住居は直径5mほどであるのに対し、モヨロ人の住居は直径大体10mから15mほどと、非常に規模が大きいところが特徴。このことから、1つの住居に1世帯でなく3~4世帯、20人ほどが暮らしていたのではないかと考えられています。
海獣狩猟民族であるモヨロ人は、クジラやアザラシなど大型の海獣を獲物としていました。そのため複数人で狩猟を行う必要があり、仲間同士で生活を共にしていたと考えられます。
館内には再現された住居もあるので、実際に中に入ればその大きさを体感することができます。室内からも竪穴式住居を観察できるので、建築物好きな男性もぜひチェックしてみてください。
考察好きの男性は注目。ミステリアスな要素が詰まった墓地
▲「墓域展示室」では、墓地を実際に発掘された状態で復元している
モヨロ貝塚館では300基を超える多くの墓が発見され、館内では、発掘された墓地そのものや埋葬方法についての資料を保存・展示しています。
オホーツク文化の中でも、とりわけ特徴的と言われているのが墓地で、埋葬方法は、手足を折り曲げて、穴を掘った中に死者を埋葬する「屈葬」。亡くなった人の頭の上には、使っていた壺や水がめのような土器が逆さまにしてかぶせられていますが、なぜこのように土器をかぶせたのか、その意味は分かっていません。
また、オホーツク文化のお墓は、多くが北西方向に頭を向けていることも特徴と言えます。この理由も明確にはなっていませんが、網走の地から見て、北西方向にあるのはモヨロ人の故郷です。遠い郷土に思いを馳せ、その方角に向けて死者を埋葬した可能性が指摘されています。
さまざまな出土品がありながら、謎も多く残る、モヨロ人の墓地。こんなミステリアスなところも、男心をくすぐります。
まつられた熊の骨や粘土像を見つめ、モヨロ人の精神世界に思いをはせる
▲住居内にある、ヒグマの頭蓋骨をまつった祭壇(復元)
モヨロ貝塚館では、モヨロ人の使った祭壇も再現され、彼らの精神世界や祈りについても触れることができます。
モヨロ人は動物信仰の文化を持っていたと言われ、遺跡からは色々な動物の骨そのものに加え、粘土で作った像も多く見つかっています。
なかでも、信仰の一番の対象は熊だったと考えられており、粘土などで形作られた熊の像がいくつも発掘されていることから、モヨロ人は「生態系の頂点にいるのは熊」という認識を既に持っていたのかもしれませんね。
ただ、粘土などで作られた熊は恐ろしそうというよりは可愛らしく、穏やかな表情をしたものがほとんどです。現代では「熊=危険」と認識されることが多いですが、モヨロ人にとって熊は、強く優しい守り神のような存在だったのかもしれません。
▲館内にはミニチュアの動物像のほか、道具の一部に動物の柄を彫り込んだものも多数展示されている
狩猟道具も展示。出土した貝や骨には直接触れられる
▲交易で入手したとみられる道具類。狩猟で得た豊富な毛皮などと交換したと考えられている
モヨロ貝塚館では、モヨロ人が生活で使用したとみられる道具類が展示され、日々の暮らしや他地域との交流の様子が見て取れます。
例えばモヨロ貝塚では刀や鉾、耳環など多くの金属製品が見つかり、その中には、モヨロ人がかつて暮らしていた大陸、あるいは、現在の日本の本州との交易によって入手したと思われるものも多く存在しています。
このことから、モヨロ人が海獣狩猟を主な生業とする一方で、交易活動も盛んに行っていたことがうかがえます。
▲モヨロ人が狩猟に使用していたとされる「銛」の展示
またモヨロ貝塚館では、珍しい「回転式の銛(もり)」も展示されています。獲物を仕留める銛の先端に銛頭を装着したもので、銛が突き刺さると銛頭が柄から外れ獲物の体内に残り、銛頭に結び付けられた紐を引き寄せて獲物を捕らえるという仕組みです。
モヨロ人の銛は形態の豊富なバリエーションも特徴的です。狩りの対象とする動物の種類によって、使い分けていたのではないかという研究もあります。実際に貝塚からは、モヨロ人が主食にしたとされる、クジラやアザラシ、魚の骨など様々な生物の残骸が見つかっています。
また、発掘された土器についた焦げを分析すると、海の資源に由来している成分が多く出ているそうです。豊富な海の幸を煮たり焼いたりした、豊かな食卓を楽しんでいたのでしょうか。土器の展示からは、そんなはるか昔の生活への想像が掻き立てられます。
貝塚の中にある骨や貝殻は実際に触ることができ、興味津々で手に取る人もいるとか。歴史に興味を持つきっかけになるかもしれませんね。
モヨロ貝塚館を訪れた人の口コミ・評判
映像やジオラマなどを駆使した、分かりやすく迫力のある展示が多数。期待以上の見ごたえだった。
明るくてきれいな施設で、1時間くらいの滞在時間でじっくり見て回れる。写真撮影がOKだったり、展示物に触れることもできたりと、彼女と一緒に楽しめるのも嬉しい。
授業では学ばなかったオホーツク文化について知ることができ、とても勉強になった。
充実した展示から、謎の多いモヨロ人の存在を身近に感じられた。大昔にタイムスリップしたような感覚が味わえる。
一通り見て回るのに1時間程度と比較的コンパクトな施設ながら、見て触れて、内容の濃い体験が楽しめるという声が多数見つかりました。
謎に包まれたモヨロ人やオホーツク文化について学べるモヨロ貝塚館は、北海道の新たな魅力を教えてくれる施設とも言えそうです。歴史に興味がある男性は、ぜひ足を運んでみてください。
モヨロ貝塚館の基本情報
所在地 | 北海道網走市北1条東2丁目 |
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問い合わせ先 | 0152-43-2608 |
営業時間 | 9:00~17:00 ※冬期間(11月~4月)は16:00まで |
休館日 | 【10月~6月】 月曜・祝日、年末年始(12/29~1/3) 【7月~9月】 無休 |
入館料 | 大人:300円 高校生・大学生:200円 小学生・中学生:100円 |
公式サイト | http://moyoro.jp/ |
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